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第 395 回 東京レントゲンカンファレンス[2019年10月24日]

症例2 30歳代 女性:下腹部痛
漿膜下筋腫捻転
torsion of uterine subserosal leiomyoma

 

 鑑別診断

・子宮筋腫茎捻転
・子宮筋腫赤色変性
・間葉系腫瘍(小腸GISTやSFTなど)

 

 子宮筋腫

・性成熟期女性の20-30%にみられるcommon disease
・ホルモン依存性疾患 → 性成熟期に増大、閉経後に縮小する  ホルモン治療なども影響する
・腹痛の原因となるのは約30% → 赤色変性(最多)、茎捻転、出血など

 

 漿膜下筋腫

・筋腫全体の10-20%。
・有茎性のものはまれに茎捻転をきたす
 —筋腫手術例の0.3%程度
・捻転のリスク因子;
 —細い/長い茎、筋腫の増大/縮小、妊娠、運動など
・捻転であれば外科的介入が必須であるため、確実な術前診断が重要である。

変性か、捻転か
・超音波では漿膜下筋腫を同定するのに有用であるが、捻転茎の描出はしばしば困難である。
・造影CT/MRIにおける筋腫の造影効果欠損や辺縁のrim状造影効果といった所見は、非捻転例(≒赤色変性)でもみられる。


 dark fan sign

・造影CTにおける筋腫の造影効果欠損や辺縁のrim状造影効果は非捻転例でもみられた一方、dark fan signは捻転例にのみ観察された。
・dark fan signは捻転例においてより高い特異度を示しており、術前診断に有用な所見となり得る。

漿膜下筋腫の捻転と非捻転例の術前CT所見を比較
 主要所見  感度  特異度
 筋腫の造影欠損  86%  95%
 筋腫辺縁の造影増強効果  71%  91%
 dark fan sign  57%  100%


 まとめ

漿膜下筋腫のdark fan signをみたら、捻転を考える。

 


参考文献

  • Ohgiya Y et al. CT features for diagnosing acute torsion of uterine subserosal leiomyoma. Japanese Journal of Radiology,2018,36,209-214
  • Roy C et al. Acute torsion of uterine leiomyoma: CT features. Abdominal Imaging,2005,30,120-123
  • ウッドハムス玲子.内生殖器腫瘍性病変.臨床画像,2018,34,400-411
  • 田村祐子 他.腹腔鏡補助下に治療した巨大漿膜下子宮筋腫茎捻転の1例.産婦の進歩,2019,71,128-134