第 402 回 東京レントゲンカンファレンス[2023年6月22日]
症例2 60歳代 女性:胸部異常陰影 |
冠動脈瘤(冠動脈肺動脈瘻) coronary aneurysm(coronary-to-pulmonary artery fistula) |
鑑別診断 |
・縦隔病変(胸腺、リンパ節、神経、甲状腺由来)
胸腺腫、胸腺嚢胞、胚細胞性腫瘍、甲状腺腫
リンパ腫、神経原性腫瘍
・心臓・血管病変
心膜嚢胞・憩室、冠動脈瘤、縦隔血管腫
冠動脈瘻、冠動脈肺動脈瘻 |
・冠動脈瘻とは先天性の冠動脈奇形の一種
・冠動脈造影を受けた患者の有病率は0.05~0.25 %
・流入部:右冠動脈(55%)、左冠動脈(35%)、両側冠動脈(5%)
・流出部:右心室(42%)、右心房(34%)、肺動脈(15%)、左心房(5%)
・多発性瘻孔も10~16%程度で認められる
・冠動脈肺動脈瘻の動脈瘤は後天的な炎症、外傷、狭窄による乱流や動脈硬化性変化によるものとされている
・大きい(3cm以上)冠動脈瘤は破裂のリスクがあり、治療の適応
・短絡が大きい場合は盗血現象による心筋虚血や心不全の発症に関連することがある
Take home message |
・非造影の画像での診断が困難であった冠動脈瘤の1例
・臨床的に疑われている病名に惑わされず、局在診断などの画像的な評価が正しい診断につながる
参考文献