casetop
東京レントゲンカンファレンス TOP症例一覧 第405回症例 症例:呈示
第 405 回 東京レントゲンカンファレンス[2023年12月21日]
症例2 60歳代 女性
カルチノイド腫瘍
carcinoid tumor

 

 画像
 
低信号の充実部分 T2WI (axial)/T2WI (sagittal)
img
 
拡散制限あり DWI(b=1000)/ADC map
img
 
多血性腫瘍 pre/動脈相/後期相
img
 

 

 肉眼所見
 
 

 

 病理所見
 
上段:HE染色
下段:免疫染色

 

最終診断
 純粋型卵巣原発カルチノイド(PPOCT : Pure primary ovary carcinoid tumor)

 

 卵巣カルチノイド

・卵巣カルチノイドは全卵巣腫瘍の0.5-1.7%である。
・病理組織学的に甲状腺腫性、島状、索状、粘液性に亜分類される。
・閉経後女性に好発する。
・成熟嚢胞奇形腫との合併例が多く(約76%)、他にも粘液性腫瘍やブレンナー腫瘍と合併することがある。
・卵巣カルチノイドは症例数が少なく、画像所見に関する報告が少なく、腫瘍マーカーの上昇もないため術前診断が困難とされる。

 

 カルチノイド症候群

・発汗、皮膚紅潮、発熱、下痢など
・島状カルチノイドの約30%に見られる
・本邦では甲状腺腫性カルチノイドが最多であるため、カルチノイド症候群は稀とされる
・組織型が索状/甲状腺腫性の場合、Peptide YYを産生し、頑固な便秘を呈することがある → 新カルチノイド症候群

 

  画像所見

・片側性
・Solid mass、もしくはmultilocular cystic mass
・MRI T2WIで低信号を呈する
・拡散強調像で高信号、ADC mapで低信号を呈する
・多血性腫瘍

 

  鑑別診断

・顆粒膜細胞腫
・Brenner腫瘍
・嚢胞腺線維腫
・転移性卵巣腫瘍
・粘液性癌

 

  Take Home Message

・T2WI低信号、拡散制限、多血性を呈する充実部分を認めたら、卵巣カルチノイドの可能性を考慮する。
・カルチノイド症候群や、新カルチノイド症候群は、診断の一助となる。

 

 


参考文献

  • 田中優美子;産婦人科の画像診断 p.385-388
  • Takeuchi M et al: Primary carcinoid tumor of the ovary: MR imaging characteristics with pathologic correlation. Magn Reson Med Sci 2011; 10: 205-209
  •  Shanbhogue AK et-al: Clinical syndromes associated with ovarian neoplasms: a comprehensive review. Radiographics. 30 (4): 903-919
  • Motoyama T et al: Functioning ovarian carcinoids induce severe constipation. Cancer  1992; 70: 513-518

   
◀ 症例提示へ戻る 画像をまとめて見る…PDF
Moderator: 村上 祥