| 幼虫移行症 larva migrans |
| 画像 |
| 検査結果 | ||||||||
| 【血算】 | 【生化】 | |||||||
| WBC | 7000 | /μL | BUN | 12.3 | mg/dL | |||
| 好中球 | 43 | % | Cr | 0.91 | mg/dL | |||
| 好酸球 | 30.5 | % | T-Bil | 1.1 | mg/dL | |||
| 単球 | 1.5 | % | AST | 15 | U/L | |||
| リンパ球 | 17.5 | % | ALT | 16 | U/L | |||
| LDH | 129 | U/L | ||||||
| Hb | 14.6 | g/dL | CRP | 0.07 | mg/dL | |||
| Plt | 214 | 103/μL | ||||||
| 健診時の胸部X線検査 |
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| 健診時の腹部超音波 |
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| 健診から一週間後のCT検査 |
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| 健診から一週間後のEOB MRI(拡散強調画像 b=1000) |
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| 健診から一週間後のEOB MRI 上段:拡散強調画像/ADCmap/脂肪抑制T2強調画像 下段:造影前脂肪抑制T1強調画像/動脈相/肝細胞相 |
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| 画像所見まとめ |
・肺:周囲にすりガラス影を伴う多発結節。
・肝臓
超音波:境界不明瞭な低エコー域
MRI:拡散強調画像で高信号
T1強調画像で淡い低信号、T2強調画像で淡い高信号
早期相で辺縁に濃染および肝細胞相で低信号
| 鑑別診断 |
・寄生虫感染(回虫、肺吸虫etc) ←虫道ははっきりせず。回虫による幼虫移行症であれば合致する。好酸球上昇も説明できる。
・多発転移 ←画像所見としては否定できず。
・リンパ腫 ←拡散制限が乏しいことからやや否定的。
・サルコイドーシス ←結節周囲にhaloがあることと、肝病変が非典型的。
| 追加情報 |
・生肉を好み、牛や鶏の生肉をよく食べる。
・犬や猫と接触することが多い。
追加検査
・上下部内視鏡で悪性腫瘍なし。
・腫瘍マーカーの上昇なし。
・IgE値上昇あり(890IU/mL 正常上限 170IU/mL)
・肝生検:Inflammation。好酸球が目立つ。一般細菌・真菌・抗酸菌培養は陰性。
・便虫卵検査で異常なし。
・頭部MRIで異常なし。
・眼科診察で異常なし。
・抗トキソカラ、ブタ回虫抗体陽性。
・抗トキソカラ抗体がより高濃度で検出。
診断:幼虫移行症(トキソカラによる)
| トキソカラ症 |
イヌ回虫(Toxocara canis)
ネコ回虫(Toxocara cati)による幼虫移行症
感染経路
・虫卵の経口摂取
・回虫に感染した待機宿主の経口摂取
児玉さゆり. 臨床放射線. 2020 ; 65:25-28.
・内臓型
・眼型
・神経型
・潜在型
中村ふくみ. モダンメディア. 2015 ; 61:376-378.
トキソカラ症(内臓型)
肺トキソカラ症の画像所見
・haloを伴う多発小結節、すりガラス影
・病変が短期間に消退と出現を繰り返す
・好酸球性肺炎様の所見や胸水貯留が見られることも
吉川正英. 日本呼吸器学会誌. 2010 ; 48:351-356.
M.Yoshikawa .Parasitology International . 2008 ;57: 525–529
肝トキソカラ症の画像所見
・辺縁が不明瞭な多発結節。
・病変の数や位置が短期間で変化する。
・肝転移と類似する場合も。
・境界不明瞭な多発低エコー域
・境界不明瞭な多発結節
・通常門脈相で明瞭となる。
・動脈相で辺縁のみ造影されることも
・T1強調画像で淡い低信号
・T2強調画像で淡い高信号
・境界不明瞭な造影増強効果
Jae Hoon Lim.Abdom Imaging .2008;33:151–156
山下由美子. 肝臓. 2017; 58:46-52.
トキソカラ症(眼型)
・日本のぶどう膜炎患者の1.1%
・ほとんどが片側発症
・飛蚊症、眼痛などが症状
・必ずしも末梢好酸球増加を伴わない。
中村ふくみ. モダンメディア. 2015 ; 61:376-378.
トキソカラ症(神経型)
・髄膜炎、脳炎、脊髄炎、血管炎。
・神経根炎や顔面神経麻痺など末梢型トキソカラ症の報告もある。
Neurological Sciences .2022;43:4583–4586
中村ふくみ. モダンメディア. 2015 ; 61:376-378.
トキソカラ症(潜在型)
・抗トキソカラ抗体陽性かつ軽微な症状(慢性的な脱力感、皮膚そう痒感など)
・好酸球増加の程度は低いあるいは正常範囲内。
中村ふくみ. モダンメディア. 2015 ; 61:376-378.
| 治療 |
・アルベンダゾール、メベンダゾールが使用される。
・アルベンダゾールが副作用が少なく広く流通しているため第一選択となる場合が多い。
・肝機能障害及び黄疸があらわれることがあるので、定期的に肝機能検査を行うことが必要。
中村ふくみ. モダンメディア. 2015 ; 61:379-380.
| 本症例は |
・症状はなし。画像検査では肺、肝に病変あり。脳に病変なし。
・眼科診察で異常なし。
→トキソカラ症(内臓型 肺、肝臓)
・アルベンダゾール 400 mg 1日2回 8週間で治療開始。
・その後、抗トキソカラ抗体が減少。
| その後の画像経過 |
8ヶ月後のCT(未治療) |
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9ヶ月後のEOB MRI(拡散強調画像 b=1000 治療から1ヶ月後) |
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| まとめ |
・肺、肝に多発結節を認めた場合、寄生虫関連の病態も鑑別にあがる。
・好酸球の上昇や病変の移動などが診断の鍵となる。
・悪性病変の除外が重要。
参考文献
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