症例 1 出生10週の女児

●最終診断
Neurocutaneous melanosis(provisional)と皮下の神経原性腫瘍

 
Neurocutaneous melanosis
疫学と臨床

・先天性の巨大/多発性の色素性母斑と中枢神経症状が主症状
・遺伝性はない
・胎生期の神経外胚葉形成異常とされる。
・神経堤由来の母斑細胞が皮膚および脳脊髄軟膜に異常増殖
・メラニン含有細胞がどのような特殊な原始細胞によって
・皮膚や脳軟膜からの悪性黒色腫の発生に注意が必要
・中枢神経系の色素細胞の増殖は良性・悪性あり

症状
・皮膚症状;「水着様」と形容される体幹部の広範な色素性母斑
(66%)と顔面・四肢の1-3cm大の多発する母斑(34%)
・中枢神経性症状;脳圧亢進症状・水頭症や種々の神経症状

診断基準
● Fox  American Elsevier Publ. New York,1972
1. 巨大な(最大径20cm以上)・多発性の皮膚色素性母斑と脳軟膜のメラノ-シスあるいはメラノーマの併存
2. 皮膚悪性化欠如
3. 脳軟膜以外の他組織でのメラノーマの欠如
● Kadonaga Acad Dermatol 24: 747-755, 1991
1. 色素性母斑の大きさを新生児・乳児で長径が20cm以上、頭部で9cm以上、体幹部で6cm以上。
2. 皮膚にメラノーマなし
3. 中枢神経にメラノーマなし

確定診断には中枢神経病変での病理が必要でそれがない場合は「暫定的」となる。

画像
・メラニンの他常磁性体へ及ぼすキレート効果やfree radical によってT1・T2短縮が特徴的。しかし、amelanotic melanomaの報告もある。AJNR 20:457-460,1999
・髄軟膜の造影効果がmelanosisと病理診断されれるわけではない。造影されなくても診断を除外できない。Pediatric Radiol 27:39-44,1997, AJNR 15:857-867,1995
・parenchymal melanocytic accumulation
→側頭葉・扁桃体;perivascular spaces
・Leptomeningial melanosis
→脳幹、脳底部、小脳、天幕

予後と治療
・皮膚病変の悪性化;2%-13%
・脳軟膜病変からの悪性化;40-60%
AJNR 24:287-290,2003

・髄液吸収障害による水頭症にはシャント形成
・母斑切除と皮膚移植
・放射線治療や化学療法は無効
・痙攀以外の中枢神経症状を発生してからの予後は、median survivalが1年以内

 
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 moderator : 竹山信之



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