症例7 40歳 男性

確定診断:Burned-out testicular tumor

高位除睾術および開腹リンパ節生検が施行された。左精巣からは瘢痕組織がえられ、burned-out tumorの所見であった。開腹後腹膜リンパ節生検では、seminomaの転移と診断された。

・Burned-out testicular tumorは転移で発症した胚細胞腫瘍患者の精巣に壊死、瘢痕組織あるいは成熟奇形腫しか認められない、比較的稀な疾患。
・精巣の悪性腫瘍が自然消退した像。
腫瘍の急激な増大に血液の供給が追いつかなくなるのが原因とされている。
・US上はechogenicなfocal lesionとして描出される。
 →原発巣検索に有用。
・MRIでは造影効果を示さない。肉芽や炎症で修飾されるとviableな病変と変わらない像を呈することもある。
・最もMetastasisを起こしやすいのは同側のpara-aorta LN。
・後腹膜腔から、縦隔、頚部、腋窩、鎖骨上窩LNや肺、肝に転移する。

補足
<本症例の精巣MRI>

T1WI
T2WI
T1WI+Gd

T1WIで右精巣と等信号。
T2WIで全体としては高信号で一部低信号の部が混在。
Gdで全く造影効果がない。

 
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 moderator:埼玉社会保険病院放射線科
        野村あやの 関達夫 佐藤良則



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