症例8:40歳代 男性

鑑別診断1:肝脾腫とリンパ節腫大を来す疾患
・Hepatitis(viral)
・Infection
 infectious mononucleosis,
 miliary tuberculosis
・Lymphoma
・Sarcoidosis

血液学的所見,胸部x-p,CT,Gaシンチ上いずれの疾患も考えにくく,肝生検が施行された。


病理組織像:弱拡大 肝内に類上皮肉芽腫の多発を認める
 

確定診断:肝類上皮性肉芽腫(クローン病の腸管外合併症)
 
鑑別診断2:肝に類上皮肉芽腫を来す疾患
・サルコイドーシス
・感染症
  結核,非定型抗酸菌症,ウイルス,真菌など
・PBC
・その他
  クローン病,脂肪肉芽腫,
  Wegener肉芽腫症など

クローン病の腸管外合併症約40%に認められる
 皮膚病変:アフタ性口内炎、結節性紅斑
 関節病変:末梢性関節炎、ばち状指
 眼病変:結膜炎、虹彩毛様体炎、ぶどう膜炎
 結石症:胆石、腎尿路結石
 精神症状
 悪性腫瘍(大腸癌)
 肝・胆道系病変

クローン病の肝・胆道系病変
・Fatty infiltration
・Hepatic abscess
・Gallstones (3〜5倍)
・Acute cholecystitis
・Sclerosing cholangitis (10%)
・Bile duct ・ gallbladder carcinoma
・Hepatic granuloma

まとめ
・クローン病に合併した肝類上皮性肉芽腫の一例を経験した。
・クローン病の症例で肝脾腫,リンパ節腫大をみた場合類上皮性肉芽腫を考慮する必要があると考えられた。

 
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moderator : 佐々木真弓,西巻 博,磯部義憲


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