症例 6:40歳代 男性

診断

HIV感染症に合併した赤痢アメーバ感染症

・HIV感染症
・赤痢アメーバ感染症
  アメーバ性腸炎
  アメーバ性肝膿瘍(及び肝被膜下膿瘍)
  腹腔内膿瘍/腹膜炎
・反応性心嚢水貯留
*転院後の問診により本患者はhomosexualと判明

腸アメーバ症の画像診断

注腸検査
早期
ハウストラの消失、粘膜の不整、小潰瘍
正常粘膜を介して病変が不連続分布(クローン病と同様)
潰瘍が深くなると、下掘れ状(いわゆるcollarbutton状潰瘍)
粘膜の炎症が高度かつ広範な場合
母指圧痕像
中毒性巨大結腸
潰瘍穿孔や炎症波及による腹膜炎の合併
結腸壁内や周囲にアメーバが進展して肉芽腫形成(ameboma)
  ⇒ 腫瘤やアップルコアサイン:癌との鑑別が困難となる

アメーバ性肝膿瘍の画像診断

大部分は単発性で、肝右葉後部に好発
 画像所見は一般に他の細菌性肝膿瘍と同様で鑑別困難
CT
・境界明瞭な低吸収域  ・単房性または多房性
・単純で、壁内側が高吸収、外側が低吸収(double target sign)
ダイナミックCTで内側層は遷延性濃染、外側層は遅延性濃染
⇒ 【内側層は炎症性肉芽組織、外側層は線維化組織】
・周囲に浮腫を伴うことが典型的とされるが、鑑別は容易でない
MRI
・ T1WIで低信号、T2WIで高信号を示すが、いずれも不均一
・外側層は線維化組織が多いため、T1・T2強調像で共に低信号

生活歴、海外渡航歴を含めた患者背景、HIV感染の有無が重要

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Moderator:相部 仁

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