第303回 東京レントゲンカンファレンス
2008年03月27日開催

症例6 10歳代 女性

画像所見のまとめ

  • 子宮、卵巣は欠損
  • 腟が短く、盲端
  • 両鼠径管内に1対の精巣様構造(両側停留精巣)
  • 精巣はT2強調像で低〜中等度信号
  • 巨大な陰核(or 小さい陰茎)様構造
  • 前立腺、精嚢は指摘できない

身体所見および検査所見

身長160cm、体重49.0 kg
顔貌:やや男性様、恥毛:あり、乳房:発育あり

染色体:46XY
テストステロン:6.63 ng/ml(男性 2.0〜7.7、女性 0.1〜0.7)

LH:13.6 mU/ml(男性 1.7〜11.2mU/nl)
FSH:22.7 mU/ml
PRA:11.6 ng/ml
エストラジオール(E2):37.6 pg/ml
                     normal

診断:精巣性女性化症 Testicular feminization

  • 核型は46XY、男性仮性半陰陽(male pseudohermaphroditism)のひとつ。
  • アンドロゲン不応症が原因。 X連鎖性の伴性劣性遺伝。頻度は2〜6万人の男子につき1例。
  • 患者は女児として生活していることが多く、第二次性徴を認めるが、初潮がないため無月経を主訴に病院を訪れることになる。
  • 精巣は陰嚢内にはなく、停留精巣を認めることが多いが、通常の停留精巣よりも腫瘍化しやすいことが知られている。
    頻度:25歳で3.6%, 50歳で33%
    seminomaが最も多いが、york sac tumorやendodermal sinus tumorなどの悪性度の高い腫瘍も起こる。
    早いうちに精巣摘除を勧める。

性分化のメカニズム

  • Y染色体により、性腺原基は精巣へ誘導される。
  • アンドロゲン受容体異常により、テストステロン作用が発現されないため、Wolf管は退縮し、生殖洞、生殖突起は女性外性器に分化する。
  • MIS(Muller管抑制因子)分泌には異常がないため、卵管、子宮、腟上部1/3は存在しない。

まとめ

  • 原発性無月経症では様々な原因があり、頻度は高くないが精巣性女性化症のように、停留精巣を認める場合がある。
  • しかも、この疾患では精巣が、悪性化する頻度が高いので、精巣を特定することが重要である。そのため、鼠径管の最下部まで十分な範囲を撮像する必要がある。

 

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Moderator:木村 有喜男