第304回 東京レントゲンカンファレンス
2008年04月24日開催

症例2 70歳代 女性
 
 
 
 

 

画像所見のまとめ

  • 右膝関節包内の長細い、境界明瞭、辺縁平滑な軟部腫瘤
  • 明らかな石灰化、出血、脂肪成分(-)
  • T1、T2強調像ともに低信号、T2強調像では不均一に僅かな高信号あり
  • 増強効果は弱い

病理組織

診断:Fibroma of the tendon sheath

 

Fibroma of the tendon sheath

  • 腱鞘から連続する、線維性被膜を有する腫瘤
  • 主に硝子化した膠原繊維と、その間に散在する線維芽細胞からなる。線維芽細胞に粘液変性を見ることあり75-82%が手指や手首の腱・腱鞘に発生するが、稀に関節包の滑膜からも発生
  • 原因は不明、10%以下に外傷歴(+)
  • 男:女=1.5〜3:1、20-50歳代に多い
  • 緩徐な発育、無痛性、大きくなると痛みや運動障害も(+)
  • 治療:切除
  • 予後:良好。但し、手指のものは20-24%に再発あり膝関節に発生した症例ではまだ再発の報告はない

Fibroma of tendon sheathのMRI所見

(単純X線写真)
 ・多くは所見のないことが多い
 ・稀に近傍の骨にerosionやscalloping(+)

(MRI)
 ・T1WIで低信号
 ・T2強調像:低信号〜中等度信号、一部に高信号を含むことあり(粘液基質を反映)
 ・T1・T2強調像で低信号の薄い被膜構造を有することあり
 ・増強効果については様々。全く増強されないものから全体に強く増強されるものまであり

鑑別診断

  • Giant cell tumor of the tendon sheath
  • PVNS
  • Nodular fasciitis
  • Extraabdominal desmoid tumor

 

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Moderator:志多 由孝