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第306回 東京レントゲンカンファレンス
2008年06月26日開催
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症例8 30歳代 女性 |
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診断
子宮扁平上皮癌、T1N1M0、Stage Ib
左腸骨リンパ節転移あり
術式
広汎子宮全摘術、骨盤内リンパ節郭清
術後化学療法(T-J療法)を追加し、退院
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診断:温存された右卵巣(正常)
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子宮頸癌の治療(概略)
0期〜Ia1期 |
円錐切除術または単純子宮全摘術 |
Ia2期 |
(準)広汎子宮全摘術、骨盤内リンパ節郭清術 |
Ib期〜IIb期 |
広汎子宮全摘術、骨盤内リンパ節郭清術 |
III〜IV期 |
化学療法併用放射線療法 |
Ia2期〜IIb期では一般的に卵巣も摘出される
卵巣摘出に伴う後障害
- 卵巣欠落症状(更年期障害):発汗、不眠など
- 骨粗鬆症
- 高コレステロール血症:動脈硬化性疾患、虚血性疾患のリスク増加 精神的
- 心理的影響:鬱状態など
卵巣温存の条件
卵巣転移がなければ温存可能
転移率 腺癌>>扁平上皮癌
- 扁平上皮癌はIb〜II期まで(転移率1%未満)
- 腺癌はⅠ期でも転移率2〜8%
腫瘍系2〜3cm以下、リンパ管・脈管侵襲軽度
体部浸潤なし、骨盤内リンパ節転移なし
- 閉経前で卵巣機能正常
- 肉眼的に正常、術中楔状切除で組織的にも転移なし
- (40歳代以下)
卵巣温存の方法
- 手術時に温存する
乳房皮下、側腹部皮下、傍結腸溝に移植
‥最近では前腕などの場所への移植も
卵巣癌のほかに、ホジキン病などでも報告あり
術後の放射線治療からも保護
‥照射野から4cm以上はなす
- 抗癌剤などの薬剤曝露から保護
GnRHアナログ投与
まとめ
- 広汎子宮全摘術でも、若年で卵巣転移が無ければ卵巣温存が行われることがある
- 主に乳房皮下、側腹部皮下、傍結腸溝
- オーダコメントや伝票には記載されていないことも多いと思われるので、要注意
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参考文献
- 【産婦人科 インフォームド・コンセントの実際】
婦人科(悪性腫瘍) 子宮頸がん 子宮全摘(単純全摘,準広汎性全摘,広汎性全摘,リンパ節郭清)(解説/特集)
Author:樋口壽宏(京都大学大学院医学研究科器官外科学講座婦人科産科学),藤井信吾
Source:産科と婦人科(0386-9792)73巻Suppl. Page273-277(2006.03)
- 【産婦人科 インフォームド・コンセントの実際】
婦人科(悪性腫瘍) 子宮頸がん 卵巣の温存について(解説/特集)
Author:小林浩(奈良県立医科大学 産婦人科)
Source:産科と婦人科(0386-9792)73巻Suppl. Page278-283(2006.03)
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