診断
左篩骨洞由来の骨腫及び頭蓋内粘液嚢胞
Osteoma of the left ethmoidal sinus with intracranial mucocele
- Osteoma variant -
*両側前頭開頭腫瘍摘出術にて、
嚢胞壁は1層の線毛円柱上皮を含む副鼻腔粘液嚢胞であることを確認している。
骨腫 Osteoma, sinus
骨腫
・良性、境界明瞭、緩徐な発育(0.4-6mm/year)、
骨増殖性(成熟骨・・・皮質骨 or 海面骨-活発)腫瘍境界明瞭、円形、高吸収、無構造、<2cm
画像
・多くは頭蓋・顔面骨から突出・・・副鼻腔に好発。
・前頭洞(80%)>篩骨洞(20%)>上顎洞>蝶形骨洞
・単純撮影・・・高濃度硬化性病変。骨化の低いfibrous typeは吸収値が低い。
4 histological types: ivory, compact, spongiose, mixed
鑑別
・外骨腫、線維性骨異形成症、骨化性線維腫、骨肉腫
・四肢の長幹骨・・・傍骨性骨肉腫の良性型としての骨腫(傍骨性骨腫)は非常にまれ。
骨化性筋炎などの反応性骨化の結果であることが多い。
臨床
・成人(20歳以上、50%<は50-70歳、10歳以下は稀)
・巨大化するまでは無症状(有症状<5%)、偶然発見。
・副鼻腔炎や貯留嚢胞の合併、眼窩等への圧排症状。
・脳脊髄液漏、頭蓋内気腫、頭蓋内進展することがある。
・予後良好。必要であれば全摘出で完治。
・20-30%で外傷、15-30%に副鼻腔炎の既往。因果関係は不明。
・Gardner症候群(30代以降で発症)の骨腫は10代で発症
チェックリスト
・周囲の構造・影響 (副鼻腔内容流出路、眼窩、髄膜及び脳)
頭蓋内合併症
・粘液腫、膿瘍・・・造影したほうがよい。
***粘液腫の1%が頭蓋内進展.1998年Manaka等の報告では,
頭蓋内進展した粘液腫のうち,骨腫に随伴したものは2例/16例(13%).
単純写真
・境界明瞭、高濃度、副鼻腔内腔、副鼻腔炎
CT
・均一、境界明瞭、骨に基部を持つ高濃度腫瘤
・副鼻腔の骨性閉塞による副鼻腔炎や粘液腫、脳膿瘍や硬膜下膿瘍
・骨病変に増強効果はない
MRI:不均一な低信号〜中等度の信号強度。病変の指摘は困難なことがある。
・T1WI・・・低信号、よくみえない、空気と混じる、黄色骨髄は高信号
・T2WI・・・低信号又は骨髄信号に似る、cortical rimは低信号
・造影後T1WI・・・造影されない
推奨される画像
・骨条件のCT冠状断像
・巨大骨腫は硬膜表面へ浸潤・・・術前MRI要
・造影MRIが接する頭蓋内構造評価に最適
reference
・頭頚部のCT・MRI 多田 信平/黒崎 喜久 編
・骨・関節のX線診断 江原 茂著
・Radiology review manual
・Harnsberger et al: Diagnostic imaging; head and neck
・H. Manaka et al: Intradural extension of mucocele complicating
frontoethmoid sinus osteoma: case report. Surg Neurol. 50:1998