肺動静脈瘻による塞栓性脳梗塞
|
【現病歴】
・突然、頭痛
・鼻出血
・構音障害
【家族歴】
・母親; 肺動静脈瘻(コイル塞栓術)
【入院時現症】
・バイタルサイン:HR 60 bpm(regular rhythm), SpO2 93 % (Room Air)
・意識:JCS; U-10, GCS; E3V4 M6=13
・ 神経学的所見:顔面を含む右不全片麻痺(上肢MMT 1, 下肢MMT 3)
▼頭部MRI(発症から3時間後) | ||
▼その他の部位のDWI | ||
▼MRA(後方循環) | ▼MRA(後方循環) | |
脳底動脈遠位の信号消失 |
脳底動脈遠位は高信号 |
|
▼頭部CT angiography(MRIと同日) | ||
解離腔は認めず |
脳底動脈のMPR冠状断 |
▼単純写真(ポータブル) | ||
解離腔は認めず |
脳底動脈のMPR冠状断 |
本症例のまとめ
・若年者の塞栓性脳梗塞(解離は否定的)
・心エコーで右-左シャントや塞栓子なし
・肺動静脈瘻の家族歴
・単純写真で左肺下葉の軟部影
▼VR像 |
A8とV8のsimple typeの動静脈瘻 |
遺伝性出血性毛細血管拡張症(Rendu-Osler-Weber syndrome)
内皮細胞蛋白に関わる遺伝子の異常
常染色体優性遺伝(9番または12番染色体)
・欧米で肺動静脈瘻の60〜90 %が本疾患。本疾患の5〜15 %に肺動静脈瘻。
・肺動静脈瘻の流入動脈径が3 mm以上で、脳の合併症(梗塞・膿瘍)が高頻度。治療は塞栓、手術。
・脳、肝、消化管にも動静脈瘻。
・鼻粘膜、皮膚の血管拡張。
診断基準
1.繰り返す鼻出血
2.毛細血管拡張(特に鼻粘膜)
3.常染色体優性の遺伝
4.関連臓器の障害
の2項目以上
参考文献
1.Guttmacher AE, et al. Hereditary hemorrhagic telangiectasia. N Engl J Med 1995;333:918-924.
2.Remy J, et al. Pulmonary arteriovenous malformations: Evaluation with CT of the chest before and after treatment. Radiology 1992;182:809-816.
3.White RI Jr, et al. Pulmonary arteriovenous malformations: diagnosis and transcatheter embolotherapy. JVIR 1996;7:787-804.
≪≪症例提示へ戻る |