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第320回東京レントゲンカンファレンス
2010年4月22日
症例7 60歳代 女性
   

結核性腱鞘炎
tuberculous tenosynovitis



画像所見のまとめ

【骨単純X線写真】
・手掌を主体とした軟部腫脹
・骨に明らかにびらんや破壊、透過性亢進は指摘でない

【MRI】
・屈筋腱鞘の顕著な肥厚と増強効果・腱鞘内の液体貯留(T2WIにて中等度信号を示し、その内部に増強されない低信号巣あり)
・近接する骨には明らかな異常信号・異常増強を認めない

 

 

その後の経過

・MRI所見から慢性腱鞘炎と考えられ、原因究明のためopen biopsyが施行された
・腱鞘内の貯留液の塗沫は陰性であったが、培養にて結核菌が証明された
・胸部から上腹部にかけては、明らかな活動性結核病巣は見られなかった

 

手関節の結核性腱鞘炎

●疫学
・筋骨格系の結核は肺外結核の10%
 →脊椎51%、骨盤:12%、股関節・大腿骨:10%、膝関節・脛骨:10%、肋骨:7% 手関節はまれ
・男女比 3:2、平均罹患年齢35-40歳
・免疫不全者に多い

●臨床症状、検査
・局部疼痛および腫脹、可動制限、軟部腫瘤形成、正中神経の圧迫による神経症状
・骨関節結核の症状の発現は潜行性で慢性的 → 故に治療開始が遅れ、不可逆性の骨関節傷害になりやすい
・血液検査データは概ね正常範囲内が多い → 血沈亢進、ツ反陽性、軽度の炎症反応などは見られる

 

手関節結核性腱鞘炎の画像所見

●単純X線写真
・限局性骨粗鬆症、骨びらん、cavitation、大きな破壊→最終的には関節強直
・これらの所見は非特異的! 下記との鑑別が必要
 →炎症性関節炎、色素性絨毛性結節性滑膜炎、痛風、軟部腫瘍

●MRI所見
・屈側優位の腱鞘の顕著な肥厚・増強
・腱鞘内の液体貯留:T2WIにて中〜高信号
・液体中に増強されないT2/T2*WIでの低信号域(debris、肉芽腫、米粒体)
Chao-Yu Hsu et al. AJR2004;183:623–628


 
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Moderator: 牛島 泰宏