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第326回東京レントゲンカンファレンス
2011年1月27日
症例5 60歳代 男性
   

食道神経鞘腫
esophageal schwannoma



摘出標本
頸部食道部分切除および再建術を施行。

均一な淡黄色腫瘤


病理
【診断】 Schwannoma of the esophagus
【所見】紡錘形細胞が錯綜・渦巻き構造を示して密に増生。
 Antoni A, Bの混在する病変。核に軽度の異形成は見られるが、悪性所見は認めず。
【免疫染色】S-100 (+) , c-kit, CD34, desmin, α-SMA (-)


胸部単純写真 気管の軽度圧排

食道造影 頸部食道の辺縁平滑な腫瘤

 


上部消化管超音波内視鏡:GF/EUS

正常粘膜に覆われた粘膜下腫瘍

4層(固有筋層)以深


造影CT

頸部食道に接する、均一な造影腫瘤


造影MRI
T2WI-ax/T2WI-cor 筋肉より高信号 辺縁の低信号帯
DWI (b=0)/DWI (b=600) 拡散制限
Gd・T1WI-ax /Gd・T1WI-cor 均一な造影増強効果

 

食道粘膜下腫瘍
・食道の良性腫瘍は1 %以下と稀。その内の75 %が粘膜下腫瘍。
・食道粘膜下腫瘍の大半は平滑筋腫で、胸部下部食道に好発。
・その他には、顆粒細胞腫、脂肪腫、線維腫、過誤腫、血管腫、リンパ管腫、神経原性腫瘍、GIST、カルチノイドなど。

食道神経鞘腫
・食道の神経鞘腫は本邦で30程の症例報告があるものの、まとまった報告はない。
・年齢は10〜79歳での報告があり、有意な好発部位は見られず。
・最終診断は免疫染色であり、良性神経鞘腫では100 %にS-100蛋白が証明。稀ながら悪性化はあり、S-100蛋白産生が消失。

結語
・稀な食道の神経鞘腫を経験した。
・食道の粘膜下腫瘍において平滑筋腫として非典型的な際には、鑑別に考慮される。

 

 

 

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Moderator:伊東 良晃