副腎白質ジストロフィー |
【所見】
・両側側脳室周囲の左右対称性T2延長域
・T2WI/FLAIRにおける脳梁の高信号域
・T2WI/FLAIRにおける錐体路の高信号域、造影による増強効果
【鑑別診断】
大脳白質の左右対称性びまん性病変
特発性正常圧水頭症、脳室周囲白質軟化症、周産期後天性低酸素性虚血性脳症、TORCH症候群、サイトメガロウイルス感染症、インフルエンザ脳症、急性脳症、感染後脳症、Reye症候群、ミトコンドリア脳症、副腎白質ジストロフィー
脳梁病変
・脳血管障害/外傷:びまん性軸索損傷、梗塞
・脱髄/代謝/変成疾患:多発性硬化症、Marchiafava-Bignami病、副腎白質ジストロフィー、異染性白質ジストロフィー、抗痙攣剤、脳炎・脳症
・先天奇形:脳梁欠損症
・腫瘍:神経膠腫、悪性リンパ腫
診断:副腎白質ジストロフィー
【副腎白質ジストロフィー】
・副腎不全と中枢神経系の脱随を主体とする伴性劣性形式の遺伝性疾患
・男子2〜3万人に1人の頻度
・典型的な小児大脳型発症例は5〜10歳に好発。視力・聴力障害、学業成績低下、痙性歩行などで発症し、比較的急速に進行。
・血清のスフィンゴミエリン中の極長鎖脂肪酸の上昇を証明することにより診断。
・本症例では極長鎖脂肪酸は C26 0.014 C25 0.040 C24 1.148 と上昇。
・後頭葉〜頭頂葉の脳質周辺部に好発するT2WIにおける高信号域が特徴的。
錐体路に沿って内包、大脳脚から、あるいは脳梁膨大部から脱髄病変が進展する。
・治療としては低極長鎖脂肪酸食やLorenzo's oil(オレイン酸:エルカ酸=4:1)の内服、造血幹細胞移植。
・小児ALDは発症後急速に進行し、1〜2年で植物状態に陥ることが多い。
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