リンパ腫様肉芽腫症 lymphomatoid granulomatosis |
病理所見(TBLB)・気管支周囲組織で、上皮下にリンパ球・形質細胞浸潤の他、核小体の目立つ核の腫大した細胞や多核の細胞が混在。
・明るい豊かな細胞をもつ細胞、一部に核分裂像。・別標本で小血管への細胞浸潤、一部壊死あり。
・EVG染色では、血管周囲にリンパ球が集まり、小血管への細胞浸潤あり。
左:HE染色/右:EVG染色 |
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免疫染色では、炎症細胞浸潤を背景に大型の異型リンパ球の増殖が見られ、これらはCD20、CD79aが陽性であった(B細胞系を示唆)。 |
【診断】Lymphomatoid granulomatosis;LYG(リンパ腫様肉芽腫症)Grade 3
LYGの特徴・40〜60歳の男性に多い
・症状:発熱、咳嗽、倦怠感、体重減少、呼吸困難
・部位:肺に多い。他に皮膚、脳、腎臓、肝臓
・診断
➀多彩な細胞浸潤
➁血管壁への細胞浸潤
➂リンパ球浸潤部位における壊死
・治療:ステロイド、抗がん剤など。MTX関連が疑われればMTXの中止
・予後:Grade 2,3では予後不良な経過を辿るといわれる
<画像的特徴> |
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Jin Seong Lee, Lymphomatoid Granulomatosis: Radiologic Features and Pathologic Correlations, AJR 2000;175:1335-1339 |
画像所見 |
・左下葉S9の小結節影は、淡い索状影に変化した後、再度増大。 |
左下葉病変の比較 |
4年半前 → 2年半前 → 3日後 |
LYGの鑑別
・肺癌 → 腫瘍マーカー、増大率 ・悪性リンパ腫 → sIL2-R、LDH ・感染症(細菌、真菌など)→ 炎症所見、培養 ・リウマチ結節 → 結節影の経過、リウマチの活動性 ・LYG → 結節影の経過、sIL2-R ・結核 → 塗沫、培養検査 ・Sarcoidosis → リンパ節腫大 ・Wegenar肉芽腫 → ANCA陽性 |
経過 |
MTXの使用を中止したところ、3週間後のCTで結節影は縮小傾向を示した。 → MTX関連のLYGと考えられる。 |
MTX関連のリンパ腫 ・MTXにより誘発されたリンパ腫は、極めて高率にEBVが関与している。B細胞型の非ホジキンリンパ腫が多い。
・MTX誘発リンパ腫では、明らかな危険因子は知られていない(MTX投与量やシェーグレン症候群合併も危険因子にならない)。
・MTX誘発リンパ腫ではMTX中止及び少量の副腎皮質ステロイド投与で消失するが、自然退縮傾向がない場合は化学療法を考慮する。
『関節リウマチにおけるMTX診療ガイドライン』より
『病理診断におけるEBER in situ hybridizationの有用性』より
参考文献
1.Jin Seong Lee, Lymphomatoid Granulomatosis: Radiologic Features and Pathologic Correlations, AJR 2000; 175: 1335-1339
2.Takuya Miyazaki, Remission of lymphoma after withdrawal of methotrexate in rheumatoid arthritis: Relationship with type of latent Epstein-Barr virus infection, American Journal of Hematology 2007; 82: 1106-1109
3.川本研一郎,慢性関節リウマチ患者に合併した肺リンパ腫様肉芽腫症lymphomatoid granulomatosisの1例,診断病理 2007, 24巻1号, 66-69
4.金成元,関節リウマチ患者に合併した肺原発 lymphomatoid granulomatosisの一例, 日本リンパ網内系学会雑誌 2001, 41巻, 75
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