JCR TOP 東京レントゲンカンファレンス TOP症例一覧 第331回症例 症例8:呈示 ≫ 症例8:診断と解説
第331回東京レントゲンカンファレンス
2011年10月27日
症例8 40歳代 男性
    肺カポジ肉腫
Kaposi's sarcoma



病歴、検査所見のまとめ ・40歳代、男性
・数ヶ月の間に徐々に進行する呼吸困難
・HIV陽性、CD4陽性リンパ球低下
・軽度の炎症反応、可溶性IL-2レセプター陽性
・腫瘍マーカーは概ね陰性
・両下肢、鼠径部、体幹部に黒色皮疹が多発


画像所見のまとめ ・両肺に多発する不整形のconsolidation、nodules
・いずれも気管支血管束に沿って分布
・小葉間隔壁の肥厚
・腋窩に小リンパ節
・胸水貯留なし
・1ヶ月の間で陰影はほぼ不変〜わずかに増悪

左B3cよりTBLB

HE弱拡 HE強拡
HE強拡

CD34

D2-40

HHV-8


カポジ肉腫 (Kaposi's sarcoma)

要因: Human Herpesvirus 8 (HHV-8) 感染
分類: classic
endemic (African)
iatrogenic (organ transplant-related)
AIDS-related

AIDS関連は、90年代前半を境に減少傾向(約15%)→ HAART (High activated antiretrovirus therapy) の発達
男性同性愛者に多く、男女比は 50:1
皮膚(>95%)、口腔、消化管粘膜、リンパ節、肺に好発
治療は、HAART、Liposomal doxorubicin(ドキシル)


肺カポジ肉腫 血管内皮由来で、通常は皮膚カポジ肉腫に続発する
肺病変はカポジ肉腫全体の20%
出血や気道閉塞により致死的なことも

画像所見:
・ 辺縁不整なconsolidation
・ 不整形のnodules
・ 気管支血管束に沿って分布
・ 縦隔リンパ節腫大
・ 胸水貯留
・ Tlシンチにて positive、Gaシンチにて negative

12月中 2月初

【動脈血ガス検査】 (12月中)
 pH 7.467 PaO2 62.4 mmHg PaCO2 30.7 mmHg   AaDO2 49.5 mmHg
【  呼吸機能検査  】 (12月中)
 VC 121.8% FEV1.0 110.5% DLCO  68.8%
【心臓超音波検査】 (12月中)
 左室壁運動 :正常 駆出率:正常 MR : mild TR : trace 肺高血圧(ー)

 

≪≪症例提示へ戻る
Moderator:岡藤 孝史