casetop
東京レントゲンカンファレンス TOP症例一覧 第338回症例症例:呈示
第 338 回 東京レントゲンカンファレンス[2012年9月27日]
症例2 50歳代 男性 
 ボリコナゾール誘発性 骨膜炎
 Voriconazole-induced periostitis

 

右前腕単純写真 現在
経過
単純CT:右手指 / 右前腕
右前腕MRI:T1強調像 / T2強調像

 

 まとめ

・尺骨骨幹、尺側指基節骨
・多巣性
・骨膜病変
多発する骨膜炎
・ボリコナゾールを含む長期抗真菌薬投与

 

 

診断:Voriconazole-induced periostitis


 Voriconazole-induced periostitis

2009年:
・ボリコナゾールが長期投与されていた肺移植後患者5名に発生した骨膜炎

Wang TF et al. Am I Transplant 2009 Dec;9(12):2845-50

2011-2012年にかけて10文献(PubMed)
・多くは移植後患者
・Multifocal nodular periostitis

Voriconazole [ブイフェンド®(ファイザー)]

2002: FDA承認
2005: 厚生省承認

Cytochrome P450 inhibitor
重量の16%がフッ素

副作用
 ショック
 過敏症  
 腎障害
 肝障害
 消化器障害
 血液・造血器障害
 溶血性貧血  
 精神・神経系障害
 聴覚障害  
 Vit.B・K 欠乏症  
 偽膜性大腸炎
 電解質異常  
 Antabuse作用  
 S-J症候群、Lyell症候群、多形紅斑
 QT延長、心室性頻脈、心室細動、不整脈、完全房室ブロック
 心不全
 呼吸窮迫症候群

【画像・臨床像】

・肥厚性骨関節症に類似した画像
・ALPの著明な上昇
・薬剤停止とともに速やかな症状消退

【原因】血管新生因子との関わり
ボリコナゾールに含まれるフッ素などが関連(ボリコナゾール投与患者で血中F高値)
【その後の経過】薬剤停止にて症状は速やかに軽快



◀ 症例提示へ戻る 画像をまとめて見る…PDF
Moderator: 森阪 裕之