中間型松果体実質腫瘍 PPTID(Pineal parenchymal tumor of intermediate differentiation) |
一般的な血液生化学的データ異常なし。
呈示した画像
頭部単純CT
T1強調水平断、矢状断像
T2強調水平断像
拡散強調像水平断像 ADC mapping
造影T1強調像 水平断、矢状断像
所見のまとめ |
松果体部腫瘍:一部分葉状で小さな嚢胞成分(+)。周囲浸潤(ー)
境界明瞭T1強調低信号,T2強調等〜高信号、不均一によく造影される。
拡散強調像で高信号ADCわずかに低下。
CT:脳実質と、等〜高吸収の境界明瞭な軟部陰影。
石灰化パターン:exploded pattern?!
少なくとも腫瘍に巻き込まれるようなengulfed patternではない。
石灰化パターン | |
Exploded(PTTID) (ref :2011Neuroradiology) |
Engulfed(germinoma) Our Hospital case |
PPTID
Pineal parenchymal tumor of intermediate differentiation
中間型松果体実質腫瘍
病理 |
H-E染色 小さなロゼット様構造
細胞質の淡い松果体細胞と、濃いクロマチンに富む松果体細胞あり
GU〜V一部多核巨細胞。
他本例の染色
synaptophysin(+), neurofilament(+)
GFAP(-) MIB1 index 3~5%
松果体部腫瘍の鑑別 |
1)胚細胞由来
2)松果体実質由来
3)近傍の上衣細胞由来
*その他
(松果体嚢胞、髄膜腫中脳蓋由来の神経膠腫)
1)胚細胞:由来胚細胞腫瘍 全松果体腫瘍の約40%
胚腫50~60%小児〜若年成人T1T2WI白質と等信号、周辺浸潤浮腫+engulfed calcification松果体自体の石灰化、造影++、小さな嚢胞MRIでは稀でなく認める。
拡散強調像で高信号、CTにて高吸収。
奇形腫
胎児性癌
卵黄嚢腫瘍
絨毛癌
混合胚細胞系腫瘍
2)松果体実質由来
(松果体細胞由来)
○松果体細胞腫(WHO grade T)
○中間型松果体実質腫瘍
(grade U,V)
松果体実質腫瘍の少なくとも20%
(松果体細胞腫と松果体芽腫の移行型)
○松果体芽腫(grade W)
3)近傍の上衣細胞由来
○松果体近傍の交連下組織の特殊な上衣細胞由来
松果体部乳頭状腫瘍
Take Home Message |
➀胚細胞腫瘍と松果体実質腫瘍の鑑別は難しいが石灰化パターンの違いが鑑別に役立つ事もある?
実質腫瘍exploded pattern、
胚細胞腫瘍engulfed pattern。
松果体芽腫は石灰化頻度低い。
➁2007WHO分類:松果体実質腫瘍の内、松果体細胞腫と松果体芽腫の移行型として中間型松果体実質腫瘍があげられている。
➂松果体部に生じる腫瘍の15%弱、全脳腫瘍の1%以下に実質と近傍の特殊な上衣細胞に由来する腫瘍あり。
松果体部乳頭状腫瘍。
TI強調像にて高信号が特徴という報告あり。
参考文献
・Sirisha Komakula et al. Neuroradiology (2011) 53(8):577-584
・Francois Fauchon et al. Int J Radiation Oncology Biol Rhys,vol.46.no4.959-968,2000
・Nancy N. Futrell et al. AJR137:951-956November 1981
・Nakazato Y et al. Louis DN(ed) World Health Organization Classification of Tumors ot the Central Nervous System.4th edn . WHO,Chapter7 :122-129
・A.H. Chang et al.AJNR29:187-89. Jan 2008
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