線維上皮性ポリープ fibrovascular polyp(FVP) |
病理 |
組織学的には重層扁平上皮に覆われた組織で、上皮の異型は乏しく悪性所見は認められない。
間質には線維芽細胞と毛細血管の増生が目立ち一部に成熟脂肪細胞が混在している。
上記よりGiant fibrovascular polypに類似した所見である。
FVP |
・食道原発の稀な良性腫瘍
・良性非上皮性intraluminal tumor。
・本邦では2007年までに20例の報告
・組織学的に線維組織・脂肪組織・血管構造の3組織が混在し、食道扁平上皮に被われる。
・男性:女性=3:1
・発症年齢の報告は無いが本邦では25-79歳。
・通常は上部食道に起始部をもつ単発の有茎性polyp。
・本邦では下部食道発生の報告も散見される。
・悪性化は認められない。
鑑別 |
Polyp状の形態を呈する疾患
炎症性polyp
平滑筋腫
神経鞘腫(神経線維腫)
脂肪腫
悪性腫瘍(平滑筋肉腫、癌肉腫、脂肪肉腫)
食道良性腫瘍 |
上皮性 squamous cell papiloma,adenoma,cyst
非上皮性 leiomyoma,FVP,xantoma,neurofibroma,lipoma
inflammatory fibroid polyp
頻度:leiomyoma(36%),cyst(8.1%),polyp(4.2%)
(※FVPのWHO分類がなされる以前の報告)
画像所見
【CT】
・脂肪成分と、その他成分が混在するため多様な吸収値および造影効果を呈する。
・脂肪成分を同定できる。
・動脈相にて茎部にfeeding vesselが柵状に走行する
【MRI】
・内部に様々な信号強度を呈するソーセージ状の腫瘤
・T2WIにて低信号を呈し、造影にて漸増する造影効果を呈する→線維成分を示唆する。
・T1WIにて脂肪が認められる。Opposed phaseが少量の脂肪同定に有用。
まとめ:FVP |
・食道原発の稀な良性疾患。
・脂肪、線維、血管の3成分が混在するため内部は不均一。
・脂肪成分が特徴とされる。
・線維成分を反映したT2WI低信号及び漸増する造影効果。
参考文献
・新田 宙ら:巨大なFVPの1例,日臨外会誌,68(4):839-844,2007
・村上佳世ら:内視鏡的に切除した腫瘍径7mmの食道FVPの1例,室蘭病医誌,35巻1号,5-9,平成22年
・西村和彦ら:内視鏡的に切除しえた食道の巨大FVPの1例,Gastoroenterological Endoscopy,29(7):1485-1489,1987
・G.Ascenti et al:Giant FVP of the esophagus:CT and MRI findings,Abdomen Imaging,24:109-110,1999
・T.S.Kim et al:Giant FVP of the esophagus:CT findings,Abdom Imaging,30:653-655.2005
・金本高明ら:巨大な食道FVPの一例-MR所見を中心に-,日本医放会誌,65巻第3号:276-277,2005
・J.M.Stoane et al: FVP of the esophagus: MRI findings,J Comput Assist Tomogr,19(1):157-159,1995
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