膵類表皮嚢胞 epidermoid cyst of the pancreas |
所見 |
【CT】
・膵尾部に接する境界明瞭な単房性嚢胞性病変(約40×35mm大)。
・内部は均一で低濃度。
・内部の造影効果は認められず。
・被膜はsmoothで、一部やや厚く、造影効果を伴う。
・周囲組織への浸潤は認められず。
【MRI】
・骨格筋と比べて、
ーT1WIにて低信号
ーT2WIにて高信号(CSFより低信号)
ーDWIにて不均一な高信号
・厚い被膜部分はFS T1WIにて脾と同等の信号強度
・主膵管との連続性は不明瞭
ー主膵管の拡張は認められず。
ー膵実質の信号強度は保たれている。
【FDG-PET/CT】
・明らかなFDGの集積は認められず。
鑑別 〜膵嚢胞性病変 |
・膵管内乳頭粘液性腫瘍(intraductal papillary mucinous neoplasm: IPMN)
・漿液性嚢胞腫瘍(serous cystic neoplasm: SCN)
・粘液性嚢胞腫瘍(mucinous cystic neoplasm: MCN)
・仮性嚢胞(pseudocyst)
・Solid-pseudopapillary tumor(SPN)
・類表皮嚢胞(epidermoid cyst)
・リンパ上皮嚢胞(lymphoepithelial cyst)
・嚢胞変性を呈した膵島腫瘍(islet cell tumor)
・嚢胞変性を来たしやすい充実性腫瘍
:腺扁平上皮癌、退形成性膵管癌、腺房細胞癌
・微小膵癌からの貯留嚢胞
・meta/ML
腹腔鏡下膵体尾部切除術 |
【病理所見】
・膵内に脾臓組織が見られ、中には多数の嚢胞の形成を認める。
・嚢胞は異型の乏しい重層扁平上皮により内張りされる。
・高度の線維化とリンパ球、マクロファージを主体とする炎症がみられる。
・コレステリン裂隙もみられる。
膵類表皮嚢胞(膵内副脾由来)
膵類表皮嚢胞 |
・膵に迷入した脾組織、副脾から発生する、良性の真性嚢胞。
・皮膚付属器を持たない上皮にのみにより形成されたもの。
・嚢胞壁や嚢胞周囲に脾組織が認められる。
・内容液:漿液性、粘稠混濁、ゼラチン様、コレステリン様等様々。
・膵尾部に好発(副脾の好発部位)。
・疫学:若年〜中高年。男女差はない。
・症状:ほとんど無症状。ときに腹痛などの症状で発見。
・血清CA19-9、CEA高値例も多い。
【画像所見】
・膵尾部に発生。
・隔壁様構造を持つ境界明瞭な単房性or多房性嚢胞性病変。
・副脾の成分が多ければ、充実成分や厚い壁構造として認められる。
脾と同様のCT値、MRIの信号強度。
ダイナミックスタディで脾と同様の増強パターン
・SPIO(超常磁性酸化鉄製剤)投与後にT2WI、T2*WIで脾と同様に信号強度の低下が認められる。
Squamous-lined cysts of the pancreas |
・膵の嚢胞性腫瘍の中の扁平上皮で被覆される嚢胞。
・嚢胞内容に脂肪、ケラチンを高頻度に認める。
・血清CA 19-9が高値を示すことが多い。
1.リンパ上皮嚢胞:外層に成熟リンパ組織で覆われる
2.類上皮嚢胞:副脾を含む
3.類皮嚢胞 : 扁平上皮下に皮膚付属器を含む
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