胃癌の骨格筋転移 gastric carcinoma metastasis to skeletal muscles |
画像所見 |
腹部造影CT(Venograohy直後) |
造影MRI (CTNB施行後) |
SPECT/CT fusion images |
所見のまとめ |
・左右非対称性の筋腫脹、造影効果を伴う → 病変の首座は筋および筋膜、明らかな腫瘤性病変は指摘できない
・傍大動脈周囲や腸間膜根部の軟部影
・MRIではT2WI/DWI/STIRで高信号
・ガリウムシンチで集積はほとんど認めず
鑑別 |
・皮膚筋炎 ← 悪性腫瘍の既往ありだが、大腿四頭筋は保たれる
・悪性リンパ腫 ← ガリウムシンチで集積が認められない。低悪性MLの可能性は残る
・後腹膜線維腫症、悪性線維性組織球症
・感染(壊死性筋膜炎、蜂窩織炎)
← 採血データ、ガリウムシンチ所見から考えにくい
・横紋筋融解症 ← CK値が矛盾
・筋転移
・筋サルコイドーシス ← MRIでの特徴的な信号強度が異なる
(中心部が低信号)
CTNB施行:
印環細胞のびまん性増生を認める
腫瘍細胞はCK7(+)/CK20(-)を呈する → 胃癌のびまん性筋転移
胃癌の筋転移 |
・悪性腫瘍の骨格筋転移自体が非常にまれ。
剖検例の0.8%との報告あり
・びまん性筋転移はさらにまれであり、画像所見は炎症病変と酷似する
・胃癌のびまん性筋転移の報告はいずれも印環細胞癌由来
CT、MRI画像上は筋炎など炎症性疾患と非常に類似する。
ガリウムシンチで集積が認められなかったのは間質成分が多いためと考えれば矛盾しない。
胃癌罹患率が高い本邦において、鑑別に挙げることが重要
参考文献
・Satonaka H, et al. Current Orthopaedic Practice 2010; 21: 310-314
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