casetop
東京レントゲンカンファレンス TOP症例一覧 第345回症例症例:呈示
第 345 回 東京レントゲンカンファレンス[2013年6月20日]
症例8 40歳代 女性
胞状奇胎
hydatidiform mole

 

 画像所見

【CT】
・子宮内腔を置換するような網目状の構造物がる。
・ほとんどが低吸収を示しますが網目状に増強されている。

【MRI】
・子宮内腔を置換するような網目状の構造物がる。
・T1WI:内腔にせんきょ性病変が見られる。腫瘤辺縁には高信号域が見られ、出血を合併している。
・T2WI:内腔に網目状に高信号を示し、内部に強い低信号域があり、凝血塊と思われる。
・MRIでも網目構造部が子宮筋層と同程度に増強されています。


 Encephalocele 絨毛疾患の分類(病理学的分類)

胞状奇胎:hCG高値
 全胞状奇胎 胎芽(-)、胎児(-)、臍帯(-)
 部分胞状奇胎 胎芽(+)、胎児(+)、臍帯(+)
 侵入胞状奇胎   子宮筋層内浸潤(+)

絨毛癌
:hCG高値
    絨毛細胞の悪性化. 浸潤性(+)、出血壊死(+)

胎盤部トロホブラスト腫瘍:hCG低値
    胎盤着床部の中間型栄養細胞の増殖

存続絨毛症:hCG高値

 胞状奇胎
   

【画像的特徴 】
経腟超音波 small vesicle pattern
CT・MRI  子宮内妊娠部位に集簇する小嚢胞
     筋層浸潤の有無を確認

 

【画像所見】
疑問点
筋層浸潤のない胞状奇胎が疑われましたが、尿hCGが陰性である点と妊娠の機会がないという2個の重要な点が矛盾していました。

➀尿hCG 陰性 ??
➁妊娠    否定   ??

img
本症例の経腹超音波画像

 

 尿中 hCG

胞状奇胎などの絨毛疾患における100万mIU/ml以上の異常高値でラテックス凝集法を用いた場合、hCGが尿中に極度に含まれ、抗原担体のラテックス粒子がhCGで取り囲まれることにより凝集が阻害される プロゾン現象で、反応が偽陰性になることがある。

 

本症例について

血中hCG測定 630,000 mIU/ml(>0.7)

経過
   胞状奇胎の臨床診断にて単純子宮全摘出術
 →病理学的に全胞状奇胎の診断
術後血中hCG値は急激に減少
現時点<=0.4 mIU/ml

 Take home message

尿hCG陰性 ??  測定上限を超えると希釈が必要。  あるいは血中hCGを測定。   

妊娠    否定   ??  自己申告は当てにならないこともある。

 

参考文献
・日本産科婦人科学会・日本病理学会:絨毛性疾患取扱い規約第2版
・標準産科婦人科学 医学書院


◀ 症例提示へ戻る 画像をまとめて見る…PDF
Moderator: 山本 亜也