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第 347 回 東京レントゲンカンファレンス[2013年10月24日]
症例3 0歳代 女児 : 痙攣
二相性けいれんと遅発性拡散低下を呈する急性脳症
acute encephalopathy with biphasic seizure and late reduced diffusion;AESD

 

二相性けいれんと遅発性拡散低下を呈する急性脳症
acute encephalopathy with biphasic seizure and late reduced diffusion;AESD
≒ けいれん重積型急性脳症

 急性脳症

・急激に生じた広範囲の脳障害:症状は意識障害頭蓋内圧亢進症状痙攣 etc
・小児、特に乳幼児に多い:ウイルス感染症を誘因とするものが多い
・中枢神経系の非炎症性浮腫:血管性浮腫、細胞性浮腫

【発生機序による分類】
代謝異常
[古典的Reye 症候群]
・感染や薬剤により、肝ミトコンドリア代謝機能が低下 → 毒性代謝物の蓄積 → 急性脳症を発症
高アンモニア血症、低血糖
急性期より、脳のびまん性浮腫、T2WI での白質高信号

サイトカイン過剰反応
[Reye 様症候群]
・中〜高度の肝機能障害
急性期から全脳または大脳皮質のび慢性浮腫
[出血性ショック脳症症候群]
・血液凝固機能・多臓器障害、電解質異常
急性期から大脳皮質全域の浮腫
・DWI で皮質、白質に高信号
出血を合併することあり
[急性壊死性脳症]
急性期にび慢性の血管性脳浮腫
・両側視床・深部白質・内包・被殻・脳幹被蓋・小脳白質にDWI、T2WI 高信号
視床の出血壊死が特徴的

興奮毒性による急性脳症
・痙攣後、グルタミン酸(興奮性神経伝達物質)が神経細胞から分泌

➃ その他


 鑑別診断

・二相性痙攣と遅発性拡散能低下を呈する急性脳症(AESD)
・前頭葉を主とし障害する乳幼児急性脳症
・片側痙攣片麻痺症候群


 二相性痙攣と遅発性拡散能低下を呈する急性脳症(AESD)


・初回痙攣期には熱性痙攣との鑑別が困難なことあり
・3-9 病日、皮質下白質のび慢性の拡散抑制 → Bright tree appearance
・中心溝近傍はspare される
・9-25 病日、皮質下白質高信号は消失(皮質高信号を認めることあり)
・2 週以降は脳萎縮出現
・臨床経過を把握し、経過日数を加味した読影が必要
・拡散能低下域の出現により、2 回目の痙攣の時期を予測
・拡散能低下域の分布で予後を予測

しかし2 回目の痙攣を予測出来ても、予防は困難

 

参考文献
・Takanashi J, et al. Neurology 2006: 66: 1304-9
・水口雅: けいれん重積型(二相性)急性脳症のオーバービュー. 小児科診療65(9), 1941-1945, 2012.


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