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第 347 回 東京レントゲンカンファレンス[2013年10月24日]
症例4 60歳代 男性 : 異常行動
低血糖脳症
hypoglycemic encephalopathy

 

 鑑別疾患:錐体路病変(MRI所見)

筋萎縮性側索硬化症
・通常、異常所見は認めない
・ときに錐体路に沿ったT2-WI, FLAIR像で高信号を認める
原発性側索硬化症
・錐体路に沿ったT2-WI高信号を認める
副腎白質ジストロフィー
・T2-WI:側頭後頭葉深部白質高信号
トルエン中毒
・T2-WI:白質、中小脳脚の高信号と視床、基底核の低信号
脳腱黄色腫症
・小脳白質、歯状核のT2-WI高信号の頻度が高い
慢性肝性脳症
・T1-WI:淡蒼球を中心とした基底核の高信号
Krabbe病
・T2-WIにて両側視床、基底核、深部白質の高信号
Wilson病
・T2-WI:基底核、視床、中脳、橋被蓋の高信号
・T2-WI:両側外包の円弧状高信号が特徴的
HTLV-1 associated myelopathy
・T2-WI:大脳白質(皮質下優位)の高信号
低血糖脳症(予後良好群)
・T2-WI:内包後脚、放線冠、脳梁膨大部の高信号

 

 鑑別疾患:錐体路病変(臨床症状)

筋萎縮性側索硬化症
・症状:進行性筋力低下、構音障害、呼吸機能障害
原発性側索硬化症
・症状:痙性対麻痺、錐体路症状
副腎白質ジストロフィー
・症状:痙性麻痺
トルエン中毒
・症状:小脳失調、錐体路症状、せん妄、易興奮性、幻覚など
脳腱黄色腫症
・症状:知能低下、小脳失調、アキレス腱黄色腫など
慢性肝性脳症
・意識障害、錐体路徴候、羽ばたき振戦など
Krabbe病
・易刺激性、発熱、痙攣、精神発達遅滞
Wilson病
・錐体外路症状、性格変化、知能低下など
HTLV-1 associated myelopathy
・痙性不全対麻痺、排尿障害・便秘、起立性低血圧
低血糖脳症(予後良好群)
・意識障害、昏睡、四肢麻痺など

 

 Hypoglycemic encephalopathy

非可逆的な重症例
・両側大脳半球皮質、両側海馬体
・低血糖による心血管系機能低下→低酸素脳症の影響が関与

可逆的な予後良好例
・大脳白質:側脳室周囲深部白質、半卵円中心、内包後脚、脳梁膨大部など

MRI所見
・拡散強調画像で高信号、ADC低値
・T2強調画像、FLAIRで高信号
小脳、脳幹、視床は保たれる傾向にある

 

参考文献
・J. Witsch, et al. Hypoglycemic encephalopathy: a case series literature review on outcome determination. J Neurol, 259 : 2172-2181, 2012
・K. Johkura, et al. Early diffusion MRI imaging findings and short-term outcome in comatose patients with hypoglycemia. AJNR, 33 : 904-909, 2012

 


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