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第 347 回 東京レントゲンカンファレンス[2013年10月24日]
症例6 60歳代 男性 : 尿失禁
侵襲性血管粘液腫
aggressive angiomyxoma

 

男性
漸増する造影効果
有茎性or 膀胱内腔に突出
T2WI で均一、著明な高信号
単純CT で筋肉より低吸収

 鑑別疾患

・膀胱・前立腺腫瘍DDx
・粘液癌
・血管腫
・神経線維腫
・内反性乳頭腫
・侵襲性血管粘液腫
・血管筋線維芽細胞腫
・転移性腫瘍


 Aggressive Angiomyxoma

・1983 年Steeper らにより初めて報告された。
・骨盤壁、肛門周囲、外陰部などの結合織から発生する間葉系腫瘍で、筋線維芽細胞由来といわれている
・30-50 歳台女性に好発、男性例の報告は10%以下(本邦では精索、陰嚢など泌尿器科領域で22例の報告)
・6 割以上が10cm 以上になる
・良性で転移(肺転移、縦隔リンパ節転移、腹腔内播種の報告がある)は少ないが再発が多い(33〜72%)
・無症状のことが多いが、発生部位により疼痛や尿路閉塞などをきたす


【画像所見】
・T2 強調像での渦巻状、層構造状の低信号は whorled pattern, swirled component などと呼ばれ、特徴的な所見とされている。(線維血管間質を反映)
・T2WI で著明な高信号、単純CT では筋肉より低吸収(粘液様間質を反映)
・局所浸潤傾向あり、周囲構造を圧排しながら進展
・渦巻き状、層状の、漸増する造影効果を示す
・局在からバルトリン腺嚢胞と診断されていることが多い

治療>外科切除:骨盤隔膜を挟んで進展している場合、完全切除が困難なため再発の原因となる。
エストロゲン/プロゲステロンレセプターの存在が確認されており、タモキシフェンによるホルモン療法の報告もある。

・病理組織的にAngiomyofibroblastoma(AMF)との鑑別が問題とされるが、overlap する部分も多い。

Aggressive Angiomyxoma Angiomyofibroblastoma
浸潤傾向が強い 境界明瞭
渦巻き状・層状の漸増する造影効果 全体的に不均一な強い造影効果
Whorled pattern  
大きい(10cm 以上) 比較的小さい(3cm 以下)
星状〜紡錘形の細胞 類円形〜紡錘形の細胞
細胞密度は疎、均一な分布 細胞密度の高い部分と低い部分が混在
しばしば再発 再発は稀



参考文献
・SharonWW and Goldkum JR(eds).Enzinger&Weiss’s Soft Tissue Tumors. 5th ed.Philadelphia: Mosby Elsevier, 2008; 1087


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