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東京レントゲンカンファレンス TOP症例一覧 第349回症例症例:呈示
第 349 回 東京レントゲンカンファレンス[2014年1月23日]
症例2 70歳代 女性
狭窄型虚血性小腸炎
stenotic type ischemic enteritis of the small intestine

 

画像所見まとめ

腹部X線
小腸の連続した著名な拡張。

腹部CT
右下腹部に比較的長軸に長い回腸の浮腫性壁肥厚複数箇所認め、一部に狭窄像あり。それによる小腸イレウスを認めた。
子宮膀胱脱にともなう回腸の逸脱を認めた。
S状結腸癌を認めた。
動脈硬化性変化を認めた。

腹部MRI(cine)
CT同様に下腹部回腸に浮腫性壁肥厚による内腔狭窄を認めた。

小腸造影
遠位回腸に連続する狭窄があり、それより口側で腸管の拡張を認めた。


小腸狭窄の鑑別診断

虚血性腸炎

Crohn病
腸管Behcet
腸結核
結節性多発動脈炎
NSAIDs起因性小腸潰瘍症
Schonlein-Henoch紫斑病
ループス腸炎
アニサキス症
単純性潰瘍
非特異性多発小腸潰瘍

 

【術前診断】狭窄型虚血性小腸炎、S状結腸癌(type2 SSH0N0M0 stageU)

【術式】小腸部分切除+S状結腸切除

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遠位回腸に浮腫性変化と思われる発赤を多数認め血管の増生も見られた。
触診にて固く、特に狭窄が強いと思われるところが数か所あり40cm程一括切除とした。
狭窄を疑った部位を切開したところ不可逆性の潰瘍を認めた。

 

 

病理所見

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全層性に炎症細胞の高度浸潤がみられる。
血管に富む肉芽組織をみとめる。粘膜下層まで線維化がみられる。
虚血性小腸炎として矛盾しない。

他の鑑別疾患に特徴的な所見は認めなかった。

 

虚血性小腸炎

【定義】
主幹動脈に閉塞所見がなく腸管の微小循環の障害により生じた可逆性または一過性の虚血性病変。
これを虚血性腸炎と言い、大多数は大腸に発症するが、まれに小腸に発生するものを虚血性小腸炎とし、虚血の障害が軽度である一過性型と虚血が粘膜下層全層〜固有筋層に及ぶ狭窄型に分類される。

【頻度】非悪性小腸疾患の0.1%、高齢男性に好発

【リスク因子】
糖尿病、虚血性心疾患、心不全、脱水、ショック、不整脈、血栓、塞栓、動脈硬化、血管炎、便秘、内視鏡の送気、分娩など腸管内圧の上昇

【好発部位】回腸(82%) 特に回腸末端から50cm

【症状】腹痛嘔吐イレウス、発熱、急性期から慢性期に移行するとき症状改善する。

【治療】イレウス管など保存的治療 約50日を過ぎても改善みられなければ手術

 

結語

高齢女性の虚血性小腸炎の狭窄型の症例を報告した。
虚血性小腸炎は臨床症状が非特異的であり見逃されることが多い。
原因不明の繰り返す小腸狭窄では本疾患を、鑑別にあげる必要がある。

 

参考文献
・佐田美和,小林清典,迎美幸,横山薫,小泉和三郎.虚血性小腸炎 臨牀消化器内科2013 vol28 NO7
・大原守貴,三宅洋,菊池剛史,原順子,君塚圭.S状結腸に虚血性大腸炎を併発した狭窄型虚血性小腸炎の1例 日臨外会誌 69,1964-1967 2008
・五本木武志,小形岳三郎,中野順隆,飯田浩行,軍司直人,折居和雄.虚血性小腸炎による腸閉塞の1例 日臨外会誌  70,2013-2016 2009
・藤井大裕,片山寛次,五井孝憲,石田誠,飯田敦,山口明夫.蛋白漏出症を合併した壊死性虚血性小腸炎の1例 日臨外会誌  68,882-885 2007
・鵜瀞条,瀧田尚仁,鈴木義真,塩崎哲三,玉崎秀次,鶴丸昌彦.虚血性小腸炎により小腸狭窄をきたした1例 日臨外会誌  67, 385-389 2008
・成田和広,熊谷一秀,清水浩二,田中孝幸,横山登.イレウス症状を呈した虚血性小腸炎の1例 日臨外会誌  65,2669-2673, 2004
・飯沼伸佳,山本浩二,窪田晃治,高木哲.狭窄型虚血性小腸炎の1例 信州医誌 60,365-370 2012    

 

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Moderator: 亀井 佑太郎