側頭動脈炎、リウマチ性多発筋痛症 giant cell arteritis, polymyalgia rheumatica |
画像所見まとめ |
・胸部大動脈から主要分枝へ連続する壁肥厚、FDGの集積亢進
・肩関節の滑液包並びに大転子の腱付着部のFDGの集積亢進
・棘間靭帯、坐骨結節へのFDGの集積亢進
▼ 造影CT |
▼ 造影CT | ▼ PET-CT | |
▼ PET-CT |
大動脈の壁肥厚 |
・大動脈炎
高安動脈炎
巨細胞性動脈炎/側頭動脈炎
IgG4関連疾患(大動脈周囲炎)
Cogan病
再発性多発軟骨炎
強直性脊椎炎
Behcet病
関節リウマチ、SLE(稀)
・感染症:結核、梅毒
・その他:動脈硬化や結合組織病など
高齢者の大動脈壁肥厚からは巨細胞性大動脈炎をまずは疑う
臨床所見も矛盾しない
巨細胞性動脈炎と関節/筋痛症状から何を疑うか。 → 巨細胞性動脈炎を合併したリウマチ性多発筋痛症
リウマチ性多発筋痛症polymyeligia rheumatica |
・50歳以上(平均73歳)に好発する原因不明の慢性の炎症性疾患。
・地域差が大きく、北欧諸国で多いとされている。
・遺伝的素因や環境要因が疑われている。
・典型的な症状は頸部や肩、臀部、上腕、大腿の疼痛や長期間の朝のこわばりで、両側性とされている。
・炎症のマーカー(WBC、ESR、CRP)はしばしば上昇するが非特異的。6-20%でESRが正常ないしは低下する。
その他に貧血やtransaminaseの上昇、ALP上昇を伴うことが有る。自己抗体は認めない。
・関節は関節周囲炎(腱滑膜炎、滑液包炎)の形態を取ることが多く、echoは他の関節炎との鑑別が有用。
骨の変化は少なく、erosionを伴えばRAを考える。
・PETでは、棘突起の腱付着部に51%、股関節には89%、肩関節には94%に集積が認められる。
・高齢発症の関節リウマチや強直性脊椎炎との鑑別が問題になり、PMRと診断された2-30%は、後にRAの診断となるとされている。
PMR、RAの鑑別 |
・PMR、RA、SpA(spondyloarthropathy)を対象に坐骨結節、大転子、棘突起、仙腸関節への集積(SUVmax)を比較
・坐骨結節:PMR>SpA、RA
・大転子、棘突起:PMR>RA
・仙腸関節:SpA>PMR、RA
PMRと巨細胞性動脈炎 |
・巨細胞性動脈炎(Giant cell arteritis: GCA)との関連が指摘されている。
・発症年齢や女性優位である点、地域差、血中IL-6の上昇など、類似点が多く存在し、同一疾患の表現形が異なる疾患とも言われている。
・GCAの40-60%にPMRの症状が認められ、PMRの16-21%にGCAがあるとされている。
・臨床的にGCAのないPMR患者においても、側頭動脈の生検で、不顕性の炎症(IL-2、IL-1、IL-6のmRNA)が認められるとされている。
・GCAの症状がない患者で、PETにて血管(主として鎖骨下動脈)への異常集積を、12/13例で認めたとする報告もある。
Take Home Message |
・PMRにGCAを合併する頻度が高い
・PETにて肩関節や大転子、棘突起腱付着部への集積が認められる
・臨床経過やPETの所見を知ることで、snap diagnosisも可能と思われる
参考文献
・Lancet 2013; 381: 63–72
・Rheumatology 2007;46:672–677
・Joint Bone Spine 80(2013) 171-177
・Ann Rheum Dis.2004 Jul;63(7):870-3
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