POEMS 症候群 POEMS syndrome |
画像所見 |
【CT】 | ||
・L2椎体に硬化縁を伴う溶骨性病変があり、残存する骨皮質・骨梁は肥厚している。 |
・胸水、皮下浮腫。 |
・画像所見は非特異的であり、これだけでは鑑別は困難でした。
・しかしながら、特徴的な臨床所見(左右対称性の四肢遠位優位の筋力低下・感覚障害、皮膚病変、浮腫)と骨病変を併せて考えると、ある疾患の可能性が高いと思われた。
・追加の検査で、M-protein(血清IgGλ型)陽性、血漿VEGF 1930 pg/ml異常高値が判明し、
最終診断 ◎ POEMS症候群
POEMS症候群 |
・POEMS症候群は形質細胞腫に関連した傍腫瘍症候群である。
・この症候群の主な臨床所見は運動神経優位の慢性進行性のpolyneuropathyである。
・POEMS症候群の頭文字は、
P (polyneuropathy)、
O (organomegaly)、
E (endocrinopathy)、
M (M protein)、
S (skin change)である。
・VEGFの上昇、硬化性骨病変、Castleman病、うっ血乳頭、浮腫、胸水、腹水、血小板増加、赤血球増加、ばち指などが見られる。
・別名、骨硬化性骨髄腫、Crow-Fukase症候群、高月病と呼ばれる。
POEMS症候群の骨病変
・POEMS症候群の98%に骨病変あり。
・Solitary lesion in 45%, 2-3 lesions in 23%, >3 lesions in 32%.
・Osteosclerotic only in 47%, mixed sclerotic and lytic in 51%, lytic only in 2%.
・本症例で見られたL2椎体の硬化縁を伴う溶骨性病変は、POEMS症候群の骨病変として矛盾しない。
硬化縁を伴う溶骨性病変
・このCT所見は、slow-growingな骨髄内病変で見られ、非特異的である。
・画像所見のみでは診断は困難であるが、特徴的な臨床所見( Polyneuropathy、皮膚病変、胸水、浮腫)と併せ、POEMS症候群を疑うことは可能と思われる。
POEMS症候群の治療方法
・標準的治療法は確立されていない。
・単発の骨病変:放射線治療
・多発の骨病変又は骨病変を同定できない場合:全身化学療法(メルファラン大量間歇療法(アルキル化剤)、自己末梢血幹細胞移植を伴う大量化学療法)、抗VEGFモノクローナル抗体など
本症例の治療経過
L2椎体の単発骨病変に対して外照射(6MVリニアックX線、後方1門照射、総線量40Gy(1回2Gy、週5回))を施行。
外照射後、現時点で明らかな臨床症状の改善なし。
本症例から得られた教訓 |
Polyneuropathyを有する患者さんのCTを読影する際、骨病変のcheckも必要である。
参考文献
・Dispenzieri A. POEMS syndrome. Blood Rev 21: 285-299, 2007.
・Dispenzieri A, Kyle RA, Lacy MQ, et al. POEMS syndrome: definitions and long term outcome. Blood 101: 2496-2506, 2003.
・Shibuya K, Misawa S, Horikoshi T, et al. Detection of Bone lesions by CT in POEMS Syndrome. Intern Med 50: 1393-1396, 2011.
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