casetop
東京レントゲンカンファレンス TOP症例一覧 第355回症例症例:呈示
第 355 回 東京レントゲンカンファレンス[2014年10月23日]
症例1 70歳代 男性
筋肉内多発血腫
multiple intramuscular hematoma

 

画像所見まとめ(3週後f/u時)

・左下腿〜足部の筋肉内に多発する腫瘤
・単純CT:不明瞭
・造影CT:静脈相にかけて辺縁が徐々に造影される
・境界は比較的明瞭
・内部に血管が走行
・下腿の血流は改善傾向(CTA)

CT(3ヶ月後f/u時)

上段:3W時/下段:3M時
(単純/動脈相/静脈相)

img

 

経過

・下肢冷感発症時 1st CT : PAD急性増悪
  → heparin開始(APTT >150 sec)
 
→ 左下腿の腫張・把握痛、CK高値によりcompartment syndrome除外のため整形外科consult
  → 下腿コンパートメント圧に有意な上昇なく(前方15mmHg/外側11mmHg)保存的に加療する方針となる
  → 以降、数回圧測定を施行し経過をフォロー

・3週後f/u時 2nd CT : 左下腿に多発する腫瘤 ↔ 下腿の血流は改善

・3ヶ月後f/u時 3rd CT: 腫瘤の縮小を確認


診断:筋肉内多発血腫 (multiple intramascular hematoma)コンパートメント圧測定のための針刺入による医原性血腫!

 

コンパートメント圧測定

コンパートメントに針を直接刺入
≧20-30mmHgで臨床症状(疼痛、感覚障害など)が出現

 

compartment syndrome
・コンパートメント圧の上昇により阻血や組織の機能障害を生じる病態
・原因:外傷や虚血、凝固異常、動物咬傷、点滴漏れなど
・好発部位は前腕下腿
  下腿は4つのコンパートメントに分かれる → 前方、外側、浅後方、深後方
・治療:減張切開など



 

参考文献

  • UpToDate : Acute compartment syndrome of the extremities
    (http://www.uptodate.com/contents/acute-compartment-syndrome-of-the-extremities)


◀ 症例提示へ戻る 画像をまとめて見る…PDF
Moderator: 相馬 崇宏