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東京レントゲンカンファレンス TOP症例一覧 第362回症例症例:呈示
第 362 回 東京レントゲンカンファレンス[2015年9月24日]
症例1 10歳代 男性
川崎病
Kawasaki disease (mucocutaneous lymph node syndrome)

 

 本症例の所見のまとめ
   
【現病歴】
・10歳代 男性
・左頸部腫脹、発熱
・抗生剤に反応せず
・炎症反応高値
・肝機能異常
【画像】
・左頸部多発リンパ節腫大
・周囲軟部組織に蜂窩織炎
  ー広範な浮腫性変化
  ー造影増強効果
・膿瘍形成なし


【入院後経過】
・翌日より左前腕に発疹が出現→体幹へ広がる。
・38℃以上の発熱持続。
・3次医療機関に転送。
・苺舌・眼球結膜充血が出現。

 

診断:不全型川崎病(MCLS)
・γグロブリン療法にて軽快。
・心エコー:冠動脈の拡張、瘤形成なし。

 

 川崎病:Kawasaki disease,  mucocutaneous lymph-node syndrome MCLS

【病態と疫学】
・全身の原因不明の血管炎:感染契機の血管への自己免疫?
・男児>女児、4歳以下
・主要症状 右欄
・再発率 2-3%、死亡率 0.05%
・合併症:冠動脈瘤、心筋梗塞

【診断基準】
主要症状 本症例
1.5日以上続く発熱 ×
2.両側眼球結膜の充血
3.口腔咽頭粘膜発赤
4.不定形発疹
5.四肢硬性浮腫 ×
6.非化膿性頸部リンパ節腫脹
定型例:5つ以上有するもの
不定型例:4つ+冠動脈瘤
不全型:疑いあり
 
川崎病診断の手引き 厚生労働省川崎病研究班作成改訂5版

【発症年齢】
・4歳以下 80〜85%
・10歳以上の症例もある
・本症例も10歳代発症(初発)であるが、再燃の可能性も否定できない。  川崎病迅速報告システム


 川崎病 頸部病変
           図
頸部リンパ節腫大 50-70% 咽後間隙の蜂窩織炎
・年長児
  ー免疫系がより成熟
  ー初期の主症状
・片側性
・複数、集簇
  ーD/D 化膿性リンパ節炎は単発で高度腫大
・周囲に蜂窩織炎
  ーT2WI高信号、浮腫性変化
  ー造影増強効果
・咽後間隙の広範な蜂窩織状の浮腫性変化:脂肪抑制 T2高信号
・造影増強効果なし 
 

伊藤公輝 臨床放射線 52:2 2007
木下義久 小児科臨床  60:10 2007
田中麻希子 Progress in Medicine 31:7 2011


 Take Home Messages
   
・小児
・頸部リンパ節腫脹
・周囲の蜂窩織炎
・咽後間隙蜂窩織炎
 ●膿瘍との鑑別:MRが有用
   造影 T1強調画像
   拡散画像
図
川崎病  




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Moderator: 大森 裕子