casetop
東京レントゲンカンファレンス TOP症例一覧 第366回症例症例:呈示
第 366 回 東京レントゲンカンファレンス[2016年2月25日]
症例2 20歳代 女性
fibrolamellar hepatocellular carcinoma

 

 画像所見
 
img

造影CT
・動脈相で濃染、門脈相・平衡相で
 周囲肝実質とほぼ等吸収
・内部には低吸収域あり(
・約1年半の経過観察で増大傾向

 
img

EOB-MRI
・早期より濃染、肝細胞相で
 低信号•脂肪抑制T2強調像で内部に低信号域あり(

PET-CT
・FDGの集積なし


 鑑別疾患

・肝硬変のない若年女性に発生する多血性腫瘍

➀限局性結節性過形成(FNH)
 EOB-MRIの肝細胞相で取り込まれることが多い
 中心瘢痕はT2強調像で高信号を示す

➁肝細胞腺腫
 最も多いinflammatory typeではEOB-MRIの肝細胞相で等〜高信号を示すことが多い

➂fibrolamellar hepatocellular carcinoma
 比較的大きく、増大傾向を示す腫瘍

肝生検が施行され
fibrolamellar hepatocellular carcinoma
と診断された。

 

 fibrolamellar hepatocellular carcinoma

・背景にウイルス性肝炎やアルコール性肝疾患のない比較的若年者の normal liver に発生
・好発年齢は20歳代、男女比 1:1
・欧米では全肝細胞癌の1〜9%、50歳以下の肝細胞癌の35%を占めるとされるが、本邦では極めて稀
・AFPの上昇はみられないことが多い
・発見時はすでに10cmを超える巨大な腫瘍であることが多い
・造影後は早期より不均一に濃染し、washoutを示す
・内部にはcentral scar およびそれに連続するradial septa がみられることが多く(71%)、
 これらは線維組織であるため造影早期では低吸収域だが後期では造影効果がみられる。またT2強調像では低信号を示す
・腫瘍内石灰化は68%
・リンパ節腫大は65%

 



参考文献

  • 市川智章 (2009) Fibrolamellar hepatocellular carcinoma (FL-HCC) の臨床病理学的特徴および画像所見のポイント. Liver Cancer 15:93-100
  • Mclnnes MDF et al (2015) Focal nodular hyperplasia and hepatocellular adenoma: accuracy of gadoxetic acid-enhanced MR imaging-a systematic review. Radiology 277:413-423

 

◀ 症例提示へ戻る 画像をまとめて見る…PDF
Moderator: 加藤 仁美