胸腺カルチノイド thymic carcinoid |
画像所見まとめ |
・前縦隔の腫瘤
中心部の造影不良:出血壊死s/o
辺縁の造影効果
FDG uptake(+)
・両側副甲状腺腫瘤
・膵腫瘤(多血性s/o)
・胆石、左腎結石
胸腺カルチノイド |
【カルチノイドの定義】
・全身に存在する神経内分泌細胞から発生する腫瘍
・近年は、神経内分泌腫瘍に分類
高分化型 | 低分化型 | ||
定型的 カルチノイド |
非定型的 カルチノイド |
大細胞型 神経内分泌癌 |
小細胞癌 |
【特徴】
➀ 他のカルチノイドとの比較
・発生頻度が低い
全カルチノイドの6%
縦隔腫瘍の3%
・男性に多い 男:女= 3 : 1
・MEN1を合併(25%)1)
・非定型(80%)>> 定型 2)
悪性度が高い
予後不良 → MEN1の主な死因
FDG uptake (+) 3)
1)天野 寛之. 日呼吸会誌. 2010;48:855-859.
2)上野 克仁. 日呼外会誌. 2010;24:181-186.
3)Groves AM. AJR Am J Roentgenol. 2004;182:511-513.
➁ MEN1合併例:孤発性との比較
・男性に多い(89-100%)4)
・Heavy smokers(85%)5)
・副甲状腺機能亢進症を高率に合併 1)
副甲状腺機能亢進症(92%)>膵神経内分泌腫瘍>>下垂体腫瘍
・傍腫瘍性内分泌症候群の頻度が低い
ほとんどは弧発性
4)Gibril F. J Clin Endocrinol Metab. 2003;88:1066-1081.
5)Ferolla P. J Clin Endocrinol Metab. 2005;90:2603-2609.
【画像所見】
・CT
内部性状:均一/不均一
辺縁:整/不整
石灰化:(-)/(+)
造影効果:(+)
・MRI
T1WI↓、T2WI↑
出血:T1・T2WI↑6)
・FDG-PET
Uptake (+):SUVmax 2-5 6)
6)柳田 正志. 日呼外会誌. 2010;24:181-186.
非特異的 |
【鑑別疾患】
・胸腺腫
・胸腺癌
・悪性リンパ腫
・Germ cell tumor
・転移
鑑別困難 |
鑑別診断 |
・本症例は、MEN1に合併した胸腺カルチノイドである
・胸腺カルチノイドのCT/MRI/FDG-PET所見は非特異的であり、それだけで診断するのは困難
・ただし、高Ca血症と両側副甲状腺腫瘤から、副甲状腺過形成を疑うことができる
胆石や腎結石もそれを支持する所見である
・また、多血性膵腫瘤から膵神経内分泌腫瘍の可能性を考える
・これらの所見を統合しMEN1を疑い、合併頻度の高い胸腺カルチノイドを鑑別に挙げる
・その他の鑑別としては、縦隔内異所性副甲状腺腫がある
・両者の鑑別は、ソマトスタチン受容体シンチグラフィで可能である
前縦隔腫瘤の最終鑑別
PET | シンチグラフィ | ||
FDG | MIBI | ソマトスタチン受容体 | |
副甲状腺腫 | 〇 | 〇 | × |
胸腺カルチノイド | 〇 | 〇 | 〇 |
Conclusion |
・MEN1に合併した胸腺カルチノイドの1例を報告した
・胸腺カルチノイドのCT/MRI/FDG-PET所見は非特異的である
・ただし、Labo dataや他の画像所見が診断の一助となる
参考文献