casetop
東京レントゲンカンファレンス TOP症例一覧 第369回症例 ≫ 症例:診断
第 369 回 東京レントゲンカンファレンス[2016年6月16日]
症例3 50歳代 女性 : 腹痛
十二指腸憩室腸石落下による腸石イレウス
bowel obstruction caused by an enterolith originating in duodenal diverticulum


 十二指腸憩室腸石落下による腸石イレウス

【十二指腸憩室】
・高頻度に存在(11-22% 剖検例)
・合併症はまれ(治療対象1%)
 —大きくネックは広い。
 —十二指腸内食物通過は速く、憩室内に停滞しにくい

【十二指腸憩室合併症】
・Lemmel症候群
・十二指腸憩室炎
・十二指腸憩室出血→腹痛、上部消化管穿孔、上部消化管出血のピットホールになりうる
・十二指腸憩室穿孔
 —憩室炎
 —腸石
 —異物、外傷など

【腸石(腸結石)】
真性結石
・正常の腸内容物を成分として腸内で形成
・腸内容の停滞する憩室, 盲嚢, 狭窄などの状態と化学的因子が必要
・化学的因子の相違により胆汁酸腸石とカルシウム塩腸石が形成
仮性結石
・不溶性物の塊、腸内容物、沈殿物
 —胃石 
 —胆石
 —食物塊、食物繊維腸石、糞石
 —薬物、バリウムなどの沈殿物など
仮性結石>真性結石

【十二指腸憩室結石】
・合併症
 —憩室穿孔
 —腸閉塞(イレウス)
・30数例(PubMed)
・4例(医学中央雑誌 会議録除く)

【腸石イレウス】
・腸閉塞所見と粗大結石 →CT診断可能
・治療
 —外科的除去 腸石粉砕
 —自然排石困難



参考文献

  • 上田 祐華.日本臨床外科学会雑誌.Vol. 71 (2010) No. 4:932-936
  • 北川 光一.日本臨床外科学会雑誌.Vol. 69 (2008) No. 8:1935-1940