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第 371 回 東京レントゲンカンファレンス[2016年10月27日]
症例7 10歳代 男性 : 腹痛
Meckel憩室内翻による腸重積
intussusception due to an inverted Meckel's diverticulum


 画像所見まとめ

回盲部から口側約50cmの小腸が小腸に嵌入する腸重積。
嵌入した小腸の先進部に脂肪塊があり、腸管壁のような構造で囲まれている。

 

 腸重積の原因の鑑別診断

脂肪腫、Meckel憩室の内翻、消化管重複症の内翻

 

 Meckel憩室

人口の2%
卵黄腸管の遺残
バウヒン弁から約50-100cm口側の回腸
腸間膜と対側に位置する真性憩室
約50%に異所性粘膜
Meckel憩室内翻による成人腸重積は本邦で約50例の報告。
術前診断できたのは約10%で「脂肪腫」の術前診断が少なくない。
Meckel憩室の頂部には脂肪を含んだ結節を伴うことが多く、内翻して脂肪腫のように見える。脂肪の由来には卵黄腸管の遺残、憩室間膜、憩室に合併した脂肪腫など様々な説がある。

 

 脂肪腫による腸重積との鑑別

脂肪腫との鑑別は脂肪塊を覆う構造がポイント
脂肪腫:薄い粘膜層で覆われる。
Meckel憩室:厚い腸管全層で覆われる。

 


参考文献

  • 升田智也.下部消化管内視鏡検査にてMeckel憩室内翻による腸重積症を観察しえた1例.日消誌,2014,111,924-930
  • 白井修.Meckel憩室と消化管重複症.日本臨牀,2008,66(7),1343-1349
  • 高橋大五郎.内翻したMeckel憩室による成人腸重積の1例.日臨外会誌,2013,74(8),2188-2193
  • Jin Hee Kim et al.Inverted Meckel Diverticulum.Radiology,2010,255,303-306
  • 福山啓太.カプセル内視鏡で発見され小腸内視鏡下マーキングにより安全に腹腔鏡補助下に切除しえた成人小腸重複症翻転の1例.日鏡外会誌,2012,17:335-339
  • Run-De Jiang et al.Submucosal Lipoma:a Rare Cause Of Recurrent Intestinal Obstruction and Intestinal Intussusception. Journal of Gastrointestinal Surgery,2015,19,1733-1735