肝血管筋脂肪腫(類上皮型血管筋脂肪腫)
Hepatic epithelioid angiomyolipoma |
画像所見 |
単純+三相造影CT
・肝右葉から下方に突出する21×19×17cmの腫瘤性病変
・内部の不均一な高/低吸収域は出血や壊死を疑う
・血流豊富で充実部分に早期濃染
・以降の相では肝実質と等吸収
・圧排性発育 → 肝内胆管拡張
・被膜? → 圧排された肝実質や血管か
動脈相 | |
・動脈相で肝内に多発する早期濃染結節 ・以降の相では同定できず(肝実質と等吸収) |
|
単純+造影(EOB)MRI | |
・out-of-phaseでの信号低下はみられない ・T2強調像では肝実質より高信号 ・拡散低下ははっきりしない |
|
画像所見のまとめ |
・肝右葉の充実性腫瘍。
・内部壊死、出血あり。脂肪成分はなし。
・圧排性で、浸潤は認めない。被膜(±)。
・造影効果はCT/MRIとも早期濃染し、遷延する。
・MRIで拡散低下ははっきりしない。
・肝内に多発する早期濃染結節
鑑別診断 |
若年女性の多血性肝腫瘍
・HCC(fibrolameller HCC)
・肝血管肉腫
・肝細胞腺腫
・肝血管筋脂肪腫
肝血管筋脂肪腫(AML) |
・中年女性の肝右葉に単発で発生することが多い
・大部分は正常肝を背景に発生する
・血管豊富な多血性腫瘤で、脂肪成分は5-90%と一定しない→ 特に脂肪成分の少ない筋腫型が多い
・早期濃染、wash outの造影効果を呈することがありHCCと鑑別困難になることもある
・Goodman ZD, Ishak KG. Angiomyolipomas of the liver. Am J Surg Pathol 1984; 8: 745―750
・野々村昭孝他.肝臓原発 血管筋脂肪腫・PEComa の病理.診断病理 2008;25(3):155―170
Epithelioid AMLについて |
・AMLの稀な組織亜型
・脂肪成分が少なく、類上皮細胞の比率が高い
・画像所見は様々で、腫瘍が大きくなると出血や内部壊死を伴う
・悪性の経過を辿る報告がある(9/97例)→ 肝内転移の可能性→ 現在はまず経過フォローアップ中
HCC vs AML |
・HCCが門脈系を流出血管とするのに対し、AMLは肝静脈が流出血管とされる |
・肝静脈への早期還流を疑う所見あり |
参考文献
|