副脾捻転 torsion of an accessory spleen |
臨床情報まとめ |
LDH 239, CRP 5.86, WBC 14700, フィブリノゲン 532
→ 炎症、組織崩壊、外傷など
超音波で充実性腹部腫瘤。ドップラーで血流を認めない。
→ 血種か…?
画像所見まとめ |
Key image MRI (来院当日) | |
内部信号は血種として矛盾しない | |
ここから出血? これはなんだろう… |
・腹部腫瘤。MRIからは血種として矛盾しない。
・一部造影効果を伴う部位は脾動脈から血管が連続。 → これは副脾!?
・周囲構造がねじれて見える(whirl signに似た所見)。
診断:副脾捻転
副脾捻転 |
・副脾は10〜30%の人に認められる先天的異常。
・基本的には無症候性。
・副脾の最も一般的な部位は脾門部(75%)であり、次いで膵尾部周囲(20%)。
・副脾の大きさは一般的に2〜4cm。
・脾動脈の枝から血液供給を受ける。
Chuanzeng Ren, et al. Colonic obstruction caused by accessory spleen torsion. A rare case report and literature review. Medicine. 2017 Sep; 96(39).
・副脾捻転は極めてまれであり、英文文献での報告は31症例。
・副脾捻転は、一般的に非特異的な急性腹痛として現れ、発熱 、嘔吐、白血球増加および腹水を認める。
・副脾捻転は梗塞および絞扼を起こし、急性炎症を引き起こす。血管茎のねじれは静脈鬱血をおこし、副脾は腫大する。Chuanzeng Ren, et al. Colonic obstruction caused by accessory spleen torsion. A rare case report and literature review. Medicine. 2017 Sep; 96(39).
・本邦での報告ではやや女性に多い。
比較的若年者に多く(平均年齢26歳)、サイズの大きいものが目立った(もとから大きかったのか捻転して腫大したのかは不明)。
河島毅之,他. 術前診断し腹腔鏡下に摘出した副脾梗塞の1例. 日臨外会誌 76(12),3059-3063,2015.
・脾動脈と連続した血管に捻転所見があれば診断は可能だが、見つからないことも多い。
・CT,MRI,超音波いずれでも時間経過により内部所見は変化しうる。ドップラーエコーは血流の有無を確認するのに有効。
シンチグラフィーは絞扼している場合集積がないこともありうる。血管造影は有効な可能性あり。
Chuanzeng Ren, et al. Colonic obstruction caused by accessory spleen torsion. A rare case report and literature review. Medicine. 2017 Sep; 96(39).
・急性虫垂炎・卵巣腫瘍茎捻転・腸間膜腫瘤などの診断で手術が行われ、術中術後に本症と診断される場合が多く、
本邦において術前診断しえたのは3例のみ。
・本症例でも当院での術前診断は脾動脈からの出血・血腫・仮性瘤だった。
炎症反応上昇やフィブリノゲン高値は腹部腫瘤が原因と考えられ、入院5日目に手術を施行した。
・病理所見上脾臓組織を認め、副脾捻転と診断された。
河島毅之,他. 術前診断し腹腔鏡下に摘出した副脾梗塞の1例. 日臨外会誌 76(12),3059-3063,2015.
参考文献
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