casetop
東京レントゲンカンファレンス TOP症例一覧 第383回症例 ≫ 症例:診断
第 383 回 東京レントゲンカンファレンス[2018年4月26日]
症例4 10歳代 男児 : 腰痛(右側寄り)、歩き方がおかしい
類骨骨腫
osteoid osteoma


 鑑別診断

(症候)側弯+疼痛
(画像)L5下関節突起の13mm大の結節+周囲の炎症性変化

・類骨骨腫
・骨芽細胞腫
・慢性骨髄炎

 

 画像所見まとめ

単純写真
・胸椎での右凸側彎(腰椎での左凸側彎)。
・L5右下関節突起が対側より太く、骨濃度が上昇している。

CT
・L5右下関節突起に内部に点状の石灰化を伴う13mmの低吸収病変を認める
・病変周囲の骨に硬化性変化を伴う

MRI
・L5右下関節突起に13mmのT1WI中間信号/T2WI低信号病変を認める。
・同病変を中心に頭尾側にSTIR高信号/Gd造影増強効果が広がる。

 

 類骨骨腫 Osteoid Osteoma

・良性の原発性骨腫瘍で、骨産生性を示す。
・10歳代に好発する。男:女=2-3:1。
・2cm未満。これより大きい場合は骨芽細胞腫。
・小さくても周囲に著しい反応性変化を起こす。
       骨:骨髄浮腫、骨硬化
       軟部組織:腫脹、浮腫

・10%程度が脊椎に発生する。
・腰椎(59%)>頸椎(28%)>胸椎(12%)>仙椎(2%)
・脊椎の後方成分に多く発生する。
・脊椎症例では、
  70%に側彎:病変と反対側に凸
  稀に歩行障害、筋萎縮、斜頸などがみられる

[治療]
・内科治療のみで長期コントロールできる例も多い。
・コントロール不良であれば手術
  :全摘が基本で、残存病変があると再発する。
  :CTガイド下での経皮的治療もある。
・自然消退した症例の報告も散見される。

画像所見
中心部(Central nidus)と周囲(Reactive zone)
・単純写真
  ・Central nidus:同定は困難
  ・Reactive zone:骨の肥厚や骨濃度上昇
・CT
  ・Central nidus
    :境界明瞭な低吸収域
    :内部に点状石灰化
  ・Reactive zone
    :骨硬化、骨肥厚
    :軟部組織腫脹、液体貯留
・MRI
  ・Central nidus
    :T1WI低信号、T2WI/STIR低〜高信号
    :著明な早期濃染
  ・Reactive zone(かなり広汎
    :T1WI低信号、T2WI/STIR高信号
    :漸増性で強い造影増強効果
※MRI単独ではReactive Zoneが目立ち、Central nidusが視認できないこともあり、腫瘍や感染などと誤診しやすい。


 Take Home Messages

・疼痛性側彎は類骨骨腫のキャッチフレーズ!
・類骨骨腫を疑うならCTを撮る(勧める)べき!
・疼痛性側彎に『とりあえずMRI』は誤診のもと!

 

 


参考文献

  • Chai JW, et al. Radiologic diagnosis of osteoid osteoma: from simple to challenging findings. RadioGraphics. 2010; 30: 737−749.
  • Kan P, et al. Osteoid osteoma and osteoblastoma of the spine. Neurosurg Clin N Am. 2008; 19 : 65-70.