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第 383 回 東京レントゲンカンファレンス[2018年4月26日]
症例5 40歳代 女性 : 腹痛、嘔吐
子宮広間膜ヘルニア
hernia of the broad ligament of the uterus


 画像所見

1.子宮左側にclosed loop
2.子宮が右側に偏位
3.腸間膜の吸収値上昇
4.腸間膜血管の集簇が子宮円索尾側をくぐるように位置

➡ 絞扼性腸閉塞
➡ 子宮広間膜ヘルニア

 

 子宮広間膜ヘルニア

・子宮広間膜に発生した異常裂孔に腸管が嵌頓する疾患。
・頻度;内ヘルニアの約4〜5%程度。
・手術既往のない中年の経産婦に多い。
・先天的腹膜欠損、妊娠・出産や子宮操作に伴う裂傷、骨盤内炎症性疾患。
Cilley R,et.al. Am J Gastroenterol, 81:389-391, 1986
[裂孔の場所]
  Type1:子宮円索尾側
  Type2:子宮円索頭側 (卵巣提索、卵巣間膜、固有卵巣索含む)
  Type3:子宮円索直下

[画像所見]
・子宮近傍にみられるclosed loop ➡〇
・陥入腸管による子宮、S状結腸、直腸の偏位 ➡〇
・子宮外側に向かう腸間膜血管束 ➡〇
Suzuki M, et.al. Gastrointest Radiol, 11:102-104, 1986
[鑑別疾患]
S状結腸間膜ヘルニア →Closed loop を示すループの位置が異なる。

S状結腸の背側またはS状結腸および上直腸動静脈の走行する脂肪織内
S状結腸静脈と上直腸動脈に囲まれた空間

 

 結語

子宮近傍のclosed loop、腸間膜血管集簇、子宮偏位を見たら
子宮広間膜ヘルニアを鑑別にあげる。
さらに子宮円索の同定が診断の一助となりうる.

 

 


参考文献

  • Takeyama N, et al. RadioGraphics, 25:997-1015,2005
  • Cilley R,et.al. Am J Gastroenterol, 81:389-391, 1986
  • Suzuki M, et.al. Gastrointest Radiol, 11:102-104, 1986