胆嚢結核 gallbladder tuberculosis |
画像所見 |
造影CT(門脈相) ・胆嚢の腫瘤から周囲肝実質に連続する辺縁不明瞭な低吸収域 ・石灰化が著明 (胆石?) ・肝内胆管拡張 単純CT(肺HRCT) FDG PET MRI (T2強調像) |
婦人科受診
子宮、卵巣病変精査のため婦人科受診
子宮内膜組織診
・悪性所見なし
・間質に肉芽腫性変化が見られ、Langerhans型巨細胞も見られ、結核がまず疑われた
・Ziehl-Nielsen染色で明らかな菌体は認めなかった
ERCP |
・ERCPでは肝門部〜総胆管上部の狭窄
・胆嚢壁に不整形の腫瘤?
・カテーテルを胆嚢内に挿入して胆汁を採取し
各種培養、細胞診
・胆汁: Gaffky 1号 PCRで結核菌(+)
・細胞診 Class V
・胃液、喀痰: Gaffky 陰性 PCRで結核菌(+)
・肺、胆嚢、子宮結核として他院に転院し、抗結核剤治療
・胆管狭窄に対し肝部分切除、胆摘、肝管空腸吻合術を施行
病理組織診断
ー胆嚢:類上皮細胞性肉芽腫
ー肝臓:石灰化、硝子化・線維化、乾酪壊死、類上皮細胞性肉芽腫
いずれも抗酸菌症として矛盾しない
ー腫瘍性病変は認めない
ーZiehl-Nielsen、auramine(いずれも抗酸菌の染色)、fungi flora Y
(真菌の染色)の各染色を行ったが、標本中に菌体は陰性であった
・子宮内膜組織診の異常は、抗結核剤治療後には消失
胆嚢結核 |
・結核感染の部位としては比較的まれ
胆汁酸は結核菌の発育を阻害するとされる
2010年までにおよそ120例の英語文献の報告例あり
・症状は胆嚢炎などと類似し非特異的
・画像診断でも胆嚢炎や胆嚢癌との鑑別は難しく、
報告例の大部分は胆石・胆嚢炎・胆嚢癌などの診断で手術が行われ、術後に結核と診断されている
単純、造影CT
・びまん性の胆嚢壁肥厚、胆石
・胆嚢壁は不均一に造影
造影CT
・びまん性壁肥厚と周囲の肝への浸潤
・胆嚢壁の一部に石灰化や壊死を伴う限局性の腫瘤、それを取り巻く広範囲の肝実質に石灰化を伴う病変の進展
参考文献
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