播種性非結核性抗酸菌症 non-tuberculous mycobacteria |
右足とその他の所見のまとめ
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今回 | 悪性リンパ腫 | カポジ肉腫 | 骨髄炎 | |
単純写真 | 異常所見なし | 〇 | △ | 〇 |
T1WI | 筋肉よりも軽度高信号 | △ | △ | △ |
T2WI・STIR | 筋肉よりも軽度高信号 | 〇 | 〇 | 〇 |
周囲の骨髄浮腫信号 | あり | 〇 | △ | 〇 |
骨外病変 | あり | 〇 | 〇 | 〇 |
そのほかの病変 | 脛骨遠位の異常信号 | 〇 | 〇 | 〇 |
肝臓の腫瘤性病変 | 縮小傾向 | △ | 〇 | 〇 |
脛骨近位部 | 膿瘍 | × | × | ◎ |
Kaposi肉腫 |
・好発部位 皮膚
口腔粘膜、消化管、呼吸器、リンパ節の発症頻度が高いがほぼすべての臓器に発症しうる
筋骨格原発の症例も報告はされている
皮膚からの局所進展による二次的なものである
・単純写真 骨膜反応 骨びらん 骨破壊
・MRI 骨髄の異常 軟部腫瘤
隆岡崎, 臨床画像. 2021;37:1220–33.
Restrepo CS, Radiographics. 2004;24:1029–49.
Restrepo CS, Radiological Society of North America; 2006;26:1169–85.
経過 |
初回から1.5ヶ月後の造影MRI | ||
fs CE T1WI sagi | STIR cor | STIR sagi |
その後の経過
足と膝の膿瘍の精査をした結果、M intracellulareが検出され、塗抹結果はガフキー5号であった。
抗結核薬や抗菌薬が開始され、いずれの病変も徐々に縮小した。
診断: 骨髄炎 播種性非結核性抗酸菌症
非結核性抗酸菌症 |
Park JW. Bone Joint J. 2014;96-B:1561–5.
青木亜美. 呼吸器ジャーナル. 66:680–5.
播種性非結核性抗酸菌症 |
【要因】 |
先天性 | メンデル遺伝型抗酸菌易感染症(MSMD) IFN-γ受容体1/2欠損 STAT-1欠損 IL12p40欠損 NEMO遺伝子異常 IL12受容体β1欠損 CYBB遺伝子異常 GATA2 遺伝子異常 (Mono-MAC症候群) |
後天性 | CD4減少 後天性免疫不全症候群(AIDS) 特発性CD4減少など ステロイド・免疫抑制薬使用 抗IFN-γ中和自己抗体 |
青木亜美. 呼吸器ジャーナル. 66:680–5.
・原因菌 MACが最多
・CD4陽性T細胞<50/μl
発症リスク↑
・Antiretroviral therapy(ART)
導入後の免疫再構築症候群として発症した報告もある
AIDS(後天性免疫不全症候群)とは, 2022 Nov :https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/400-aids-intro.html
・消化管を介して感染し、血行性播種により肝臓や脾臓、骨髄、リンパ節などに病変が形成される
・多発骨病変を認めることもある
・溶骨性、骨硬化性変化を呈する
・リンパ節腫脹、肝脾腫、小腸の肥厚 感度<50%
・画像で結節影や腫瘤などの病変を特定し、組織生検、血液培養で証明
青木亜美. 呼吸器ジャーナル. 66:680–5.
金城 和美. Kekkaku. 2015;90:457–61.
Pantongrag-Brown L. Clin Radiol. 1998;53:816.
【治療】
・内服薬としてはクラリスロマイシン、エタンブトール、リファマイシン系薬剤が中心に使用される
・併存疾患に対する治療薬との相互作用や、菌に対する耐性によって使用薬剤は変わってくる
・外科的ドレナージの治療も行われる
・AIDSに合併した播種性NTM症は難治性のことが多く、予後不良とされている
木村 俊貴. 呼吸器ジャーナル. 2022;70:228–33.
【Penumbra sign】
・非造影T1強調画像で膿瘍腔の辺縁に線状の高信号を呈する所見亜急性骨髄炎を疑う
・感度 27〜75% 特異度・陽性適中度・陰性適中度>90%
・骨髄炎と腫瘍との鑑別に有用
Jaramillo D. Radiology. 2017;283:629–43.
Meek RD. Radiographics. 2020;40:266–90.
初回から1ヶ月後の右足の単純MRI | |
T1WI 矢状断 | T1WI 軸位断 |
まとめ |
・AIDs患者でCD4が50/μl未満で、播種性非結核性抗酸菌症のリスクが上がる
・骨を含めた複数臓器に結節や腫瘤として出現することもある
・非造影T1強調画像のpenumbra signが骨髄炎と腫瘍の鑑別に有用となる
参考文献
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