第 400 回 東京レントゲンカンファレンス[2023年4月27日]
症例3 1歳 女児:歩行障害 |
よちよち歩き骨折(広義:大腿骨近位部骨折)
toddler's fracture (extensive sence) |
鑑別 |
・骨髄炎
・大腿骨骨折
虐待
よちよち歩き骨折(広義)
骨髄炎
・小児の骨髄炎では、大腿骨が23-29%と最も頻度が高いとされている。
・しかし、骨端部に病変を認めることが多く、転子部は非常に稀である。
虐待
・小児の大腿骨骨折の年齢別の症例数では1歳未満の乳児期と1歳半から3歳の幼児に2峰性のピークがある。
・1歳未満では虐待の頻度が多く、1歳半から3歳ではよちよち歩き骨折が多いとされる。
・虐待では、大腿骨骨折の他に多発外傷や陳旧性外傷を認めることが多い。
・虐待の大腿骨骨折の部位の頻度は、骨幹部および遠位骨幹端で80%を占め、近位部は20%と頻度が少ない。
よちよち歩き骨折(Toddler’s fractur) |
…骨が軟らかい乳幼児期に軽微な外傷での骨折のこと。
【年齢】
・歩行開始から3歳ぐらいまでの幼児
【臨床】
・歩行障害を主訴に受診する
・受傷機転がはっきりしないことが多い
・荷重に対しての障害がある
【部位】
・狭義では脛骨下1/3
・広義では下肢のどこの骨も該当
【部位ごとの頻度】
・よちよち歩き骨折は、108例の検討で脛骨が73例(65.8%)と最多であり、大腿骨で2例(2%)と稀である。
・大腿骨の部位では、2例中2例(100%)が近位部である。
結語 |
・大腿骨近位部の病変では、骨髄炎や虐待など重要な疾患がある。
・よちよち歩き骨折(広義)でも大腿骨近位部に病変を認めることがあり、
治療や対応が大きく異なるため鑑別に挙げ慎重に診断する必要がある。
参考文献