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第 400 回 東京レントゲンカンファレンス[2023年4月27日]

症例5 80歳代 男性:嘔吐、食思不振。徐々に歩行困難。下腹部痛、末梢冷感あり。
盲腸周囲ヘルニア
paracecal hernia

 

 診断:内ヘルニア(盲腸周囲ヘルニア)によるイレウス

・内ヘルニア:腹腔内のくぼみ(窩、陥凹)や裂孔に腸管が入り込んだ状態
・盲腸周囲ヘルニアは内ヘルニアのうち数%程度とされており、比較的稀な疾患
・臨床症状は腹痛、嘔吐、腹部膨満など
・診断が遅れると、腸管壊死に陥り腸切除が必要になる場合もある
・60歳以上の高齢者が半数以上を占めるが、10歳未満の小児例の報告もある
・古い症例では注腸造影やイレウス管からの造影による診断例も報告されているが、最近はCTによる診断例が多い
・盲腸・上行結腸の背側の小腸像と、これによる盲腸の内腹側への圧排像が特徴的所見とされる

 


参考文献

  • 北尾俊典ほか. 日本臨床外科学会雑誌 2001; 62:1207-1211
  • 大石 純ほか. 日本消化器外科学会雑誌 2004; 37:1894-1899
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  • 今井健晴ほか. 日本臨床外科学会雑誌 2014; 75:2345-2349
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