第 400 回 東京レントゲンカンファレンス[2023年4月27日]
症例7 70歳代 女性:意識障害 |
硬膜動静脈瘻による静脈性脳梗塞および脳出血 intracerebral venous impaction and hemorrhage resulting from dural arteriovenous fistula |
鑑別診断 |
・出血性梗塞
・高血圧性脳出血
・静脈性梗塞
・Amyloid angiopathy
硬膜動静脈瘻 dural arteriovenous fistula (dAVF) |
・硬膜に発生するnidusを伴わない動静脈短絡
・頭蓋内の動静脈奇形の10〜15 %
・50〜60代に好発
・後天性の場合:外傷後、術後、静脈洞血栓など
・海綿静脈洞部、横・S状静脈洞部に多い
・症状は発生部位による
・確定診断は血管造影
・治療は血管内治療、手術、放射線治療
・aggressive type→静脈性梗塞や脳出血
硬膜動静脈瘻の分類 | |
Borden分類2) | 流出形式 |
I | 静脈洞に順行性/逆行性 |
II | 静脈洞に還流、さらに逆行性に皮質静脈に還流 |
III | 皮質静脈に還流 |
Cognard分類3) | 流出形式 |
I | 静脈洞に順行性に還流 |
IIa | 静脈洞に順行性/逆行性に還流 |
IIb | 静脈洞に順行性に還流+皮質静脈に逆流 |
IIa+b | IIa+IIb |
III | 皮質静脈のみに逆流 |
IV | IIIに静脈瘤を形成 |
V | 傍脊髄静脈に還流 |
皮質静脈への逆流があるものがaggressive type となりうる
Intraosseous dAVF
・硬膜動脈と導出静脈または板間静脈とのAVF
・瘻孔部近傍で骨の変化を認めることがある
流出静脈拡張による線状骨欠損(transcalvarial channel)
拡張静脈による頸静脈管や舌下神経管のerosion
dAVFの単純CT所見
・脳浮腫、脳出血、くも膜下出血、硬膜下血腫、脳室内出血
・流入動脈や皮質静脈の拡張
・骨の線状erosion(流入動脈・流出静脈の発達・拡張)
・皮質下白質の石灰化
dAVFの自然閉鎖
原因について諸説ある
・硬膜静脈洞の血栓症による瘻孔閉塞
・静脈洞閉塞部の再開通
・血管造影(一時的な血流停滞、造影剤の内皮障害)
・血腫によるシャント部圧迫
・頭蓋内出血後の流入動脈の血管攣縮
Take Home Point |
・左中硬膜動脈−板間静脈の硬膜動静脈瘻に合併した静脈性出血性梗塞を経験した
・CTで静脈性梗塞/出血を疑う際にはdAVFを鑑別に挙げ、dAVFを示唆するCT所見の有無検索が有用となりうる
参考文献