症例 8 70歳代 男性

病歴:
飲酒後、運転中電柱に衝突し腹部を強打し、救急車にて搬送された。シートベルトは着用していた。ハンドルに変形が見られた。
来院時、泥酔状態で症状、理学所見は明らかでなかったが、上腹部痛を訴えていた。顔面挫創と肋骨骨折が見られた。
バイタルは安定していた。

来院時血液所見
T-BIL 0.4  WBC 10.3H
AST 87H  RBC 4.08L
ALT 50H  HGB 13.5
TP 6.3L  HCT 40.4
GLU 153H  PLT 22.2
AMYLASE 220H
BUN 19
クレアチニン 1.12  CRP 0.6H

●提示画像(画像をクリックすると拡大された画像がみられます)
入院時の単純写真(臥位)

右中腹部に腫瘤影を認め(↑)その外側縁に圧排進展されたガス像を伴っている(↑) 。また上縁にはガスまたは脂肪濃度が認められるが(>)、傍腎腔の脂肪としては形が不整で、後腹膜腔のガス像が疑われる。
 
翌日の単純写真(臥位)

前日に見られた腹部腫瘤影(↑)は拡大している。
 
翌日の単純写真(側臥位)

椎体と重なり腹部正中部にはair-fluid levelが認められ(↑)、限局していることより後腹膜気腫が強く疑われる。また十二指腸内腔のガスの上方に線状のガス像が認められ(↑)後腹膜気腫の一部または十二指腸壁内のガス像と思われる。
 
入院翌日の単純CT

膵頭部から十二指腸に軟部濃度よりも高吸収の濃度の腫瘤が認められ(↑)、同部の血腫と思われる。これは単純写真で認められた腫瘤に一致するものと思われる。またその周囲の右傍腎腔に広範なガス像が認められ後腹膜気腫の所見で、十二指腸下行脚と水平脚の移行部(>)が穿孔部位と思われる。
 
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 moderator:阿部 克己 ・小須田 茂


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