症例 No.4 1歳 女児

解答 Ependymoma 上衣腫

病理所見 HE染色


1. 血管周囲に集簇した腫瘍細胞を認め,増殖した血管周囲()に無核帯()を有した血管周囲偽ロゼット形成(perivascular peudorosette)を構成している.
2. 円形状で形成される true rosette (上衣ロゼット ependymal rosette)も認められる.
 

病理所見 免疫染色(GFAP)


1. GFAP陽性:上衣細胞の存在
2. Perivascular pesudorosetteに一致して、中心に向かう細胞質突起の濃染を認める(

病理組織学的診断:Ependymoma 上衣腫
Ependymoma 上衣腫
・脳室壁の上衣細胞(ependymal cell)由来の中枢神経原発腫瘍.
・好発年齢:1-5歳にpeakがある(30歳代にsecond peak).
・発生頻度:原発性脳腫瘍の0.8%(anaplastic ependymoma 0.3%).小児原発性脳腫瘍の4.5%(1.8%).(日本脳腫瘍統計抜粋)
・発生部位:テント下(第4脳室)が約2/3を占め,1/3はテント上で側脳室・periventricular white matterに由来する.

上衣腫 CT所見
・単純CT
 テント下
  第4脳室腫瘍:小脳橋角部,大槽に進展
  石灰化(50%); +/- 嚢胞,出血
  通常,水頭症合併
 テント上
  巨大不均一脳室周囲腫瘍
  石灰化 (50%)
・造影CT: 様々な不均一造影効果

上衣腫 MRI所見
・T1WI
  通常,内部不均一な等〜高信号
  嚢胞形成(CSFよりやや高い信号強度)
  石灰化,出血を示唆する高信号域
・T2WI
  通常,内部不均一な等〜高信号
  高信号嚢胞形成
  石灰化,出血を示唆する低信号域
・FLAIR
  腫瘍とCSFが境界明瞭
  腫瘍内嚢胞(CSFと比較して強い高信号)
・T2*GRE: 出血部位が低信号メBloomingモ
・T1C+: 軽度〜中程度の造影効果

鑑別診断:小児後頭蓋窩腫瘍
・上衣腫
  第4脳室床部から発生
・非定型奇形腫様/ラブドイド腫瘍 (AT/RhT)
  嚢胞あるいは壊死を伴う巨大腫瘤
  発症年齢:3歳以下
・髄芽腫 PNET-MB
  単純CT上、高吸収腫瘤
  内部均一な腫瘤
  第4脳室天井部から発生
・小脳毛様細胞性星細胞腫
  小脳半球由来の内部不均一腫瘤
  Neural nodule有した嚢胞形成
  充実成分は非常に強い造影効果
・脳幹神経膠腫
  脳幹由来の浸潤性腫瘤
・他に,類皮腫/類上皮種, 脈絡叢乳頭腫,多形膠芽腫,乏突起膠腫,多形黄色星細胞腫など
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moderator : 小林 憲、中村尚生、中地俊介、小池淳樹


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