病理所見
・淡黄褐色〜灰白色の腫瘤で割面は内部に小さな嚢胞が散見。
・Myxoid degenerationのめだつ間質中に異型のない小型の短紡錘型細胞が増生。核分裂はみられない。小型の小血管が分布するほか、中型血管に壁在血栓形成あり。
・免疫染色:vimentin陽性、desminほとんど陰性、smooth muscle actin陰性、ER陽性、PGR陰性。
aggressive angiomyxoma (AAM)
・1983年Steeperらにより初めて報告された。
・30-50歳台女性に好発、男性例の報告は10%以下と少ない。
・骨盤壁、肛門周囲、外陰部などの結合織から発生する間葉系腫瘍。サイズは大きいことが多く、しばしば10cm以上になる。
・良性疾患だが再発が多い(33〜72%)。→'aggressive'の由来
・無症状のことが多いが、発生部位により疼痛や尿路閉塞などをきたすこ
とがある。
画像所見(MRI)
・T1強調像で低信号、T2強調像で高信号を示す。
・T2強調像の高信号は粘液成分や水分量の多さを反映している。
・T2強調像での渦巻状、層構造状の低信号は'whorled pattern'、'swirled component'などと呼ばれ、特徴的な所見とされている。(線維血管間質を反映)
・浸潤傾向はなく、周囲構造を圧排するかたちで進展する。
・造影後は渦巻き状、層状に増強される。
画像所見(CT、超音波)
・CTでは骨格筋より低吸収値を示し、造影後はMRIと同様に渦巻状、層状の増強効果を示す。
・超音波では内部均一な低エコー腫瘤あるいは嚢胞様の低エコー腫瘤との報告あり。
・治療
_ 外科切除:骨盤隔膜を挟んで進展している場合、完全切除が困難なため再発の原因となる。
_ エストロゲン/プロゲステロンレセプターの存在が確認されており、タモキシフェンによるホルモン療法の報告もある。
・Angiomyofibroblastoma(AMF)との鑑別が問題とされるが、overlapする部分も多い。
_ MRIの'whorled pattern'はAAMに特徴的。
_ AAMの方がサイズが大きい傾向がある。
_ 病理学的にはAAMの細胞は星状〜紡錘形で細胞密度は疎な傾向にある。AMFは類円形〜紡錘形の細胞で、細胞密度の高い部分と低い部分が混在している。
_ 免疫組織化学的には鑑別は難しい。