|
第308回 東京レントゲンカンファレンス
2008年10月16日開催 |
症例2 30歳代 女性 |
|
|
侵襲性血管粘液種
aggressive angiomyxoma |
|
|
1.左会陰部から骨盤内に連続する比較的境界明瞭な腫瘤
2.CT:低吸収値を示し、不整な造影効果を示す
3.MRI:T1WIで低信号、T2WIで不均一な高信号を示し、mixomatous componentを反映
4.造影MRI:辺縁に渦巻き状、層状の不整な造影効果を認めた
⇒以上の画像所見から、次の鑑別疾患を挙げた
会陰部腫瘍の鑑別診断
・Myxoid neurofibroma
・Myxoma
・Myxoid lipoma
・Myxoid liposarcoma
・Angiomyofibroblastoma
術後の病理所見により、aggressive angiomyxomaと診断された
|
|
肉眼所見
薄い被膜を持つ、弾性軟の腫瘤で、割面は灰白色、ゼリー状。
壊死や出血は認められない。
|
|
組織像
粘液腫様の間質を背景として、紡錘形の線維芽細胞が疎な配列で増生。
血管の増生を伴う。細胞異型は認められない。
|
|
■aggressive angiomyxomaは、1983年Steeperらにより良性の軟部腫瘍である粘液腫のうち、
血管新生、局所浸潤、再発性を特徴とするものとして提唱された臨床病理学的概念。
■性成熟期の女性に発生することが多いが、男性の発生例も報告されている。
■好発部位としては、外陰部、骨盤腔、会陰部などが挙げられる。
■腫瘍の大きさは数cm〜60cmまであり、10cm以上が全体の60%と、比較的大きいものが多い。
■腫瘍は徐々に増大しながら周囲軟部組織に浸潤していくことが特徴であり、
再発率は30〜70%と報告されている。
■腫瘍が尿道、膣、直腸などに隣接しているため、完全切除が難しく、肉眼的に全摘できたかに思われても、
周辺組織に残る微小な浸潤部から局所再発を来たすとされている。
■本症例でも、初回の手術で腫瘍の完全切除ができなかったことが再発の原因と考えられる。
■再発までの期間は70%以上が3年以内であるが、14年後に再発した報告もある。
本症例では、初回の手術後約1年で再発した。
|
|
|
|
症例提示ページへ
|
|
|
|
|