無症候性右副腎褐色細胞腫の自然破裂による後腹膜出血 |
入院後経過
痛みのcontrolのみで、血圧含めバイタルサインに異常なし
ワーファリンによる凝固異常に対し、服用中止
BUN29/Cr1.72 WBC13400 CRP1.8 軽度上昇
腫瘍マーカーSCC 0.6 ng/ml
内分泌腫瘍検査 | ||||||
【血中】 | 【尿中】 |
|||||
ACTH |
29.5 | pg/ml | コルチゾール |
88.6 | ug/day | |
コルチゾール |
15.1 | ug/dl | アルドステロン |
2.9 | ug/day | |
アルドステロン |
46.2 | pg/ml | カテコルAT |
365.4 | ug/day ↑ | |
アドレナリン |
53 | pg/ml | ノルメタネフリン |
4.83 | mg/day ↑ | |
ノルアドレナリン |
1828 | pg/ml ↑ | メタネフリン |
0.26 | mg/day ↑ | |
ドーパミン | 44 | pg/ml ↑ | VMA | 13.6 | mg/day ↑ |
13日後再検 ▼腎ダイナミックCT |
I-131MIBGシンチ | |
▼48時間後 | ▼72時間後 |
診断
右副腎褐色細胞腫からの後腹膜腫出血
副腎出血ー右側が多い
…右側は左側に比較し大静脈の圧の影響を受けやすい
原因:ストレス、凝固異常、抗凝固療法、原発性の副腎不全、副腎腫瘍、特発性、動脈瘤などの血管病変
出血をきたす副腎腫瘍
褐色細胞腫、副腎嚢胞、骨髄脂肪腫、副腎癌(内部)、副腎転移(稀)、腺腫や副腎血管腫(稀)
Radiographic 19: 949-963, 1999
丹羽篤朗46: 256-261 ,1993
褐色細胞腫 | ||
10% disease | ||
・家族性・遺伝性 →→ ・両側 ・副腎外発生 ・無症状 →→→→→→ ・小児 ・悪性 |
↓ ↓ ↓ 遺伝子や画像診断の進歩により最近では増加 |
・従来MIBGの褐色細胞腫に対する特異度 90-100%
・無症候性かつ血中ホルモン正常での副腎腫瘍に対して
sensitivity100%/spcificity94%/accuracy96%/PPV83%/NPV100%と報告あり
J Nucl Med 2001; 42: 884-892
偽陽性:腺腫や副腎癌での集積
偽陰性:小径、出血や壊死例、副腎外病変など
■PETの有用性
18F-FDG PET /18F-FDA PET / 18F-FDOPA PET
悪性化例・特にSDH→SDHB変異遺伝子を有する場合の転移病巣で18 F-FDG PET が有用
J Clin Endocrinol Metab 2009; 94: 4757-4767
無症候性により当初褐色細胞腫認識できずヨード造影剤を使用
・造影剤により、本例では症状やバイタルサインに異常はみられなかった。
低浸透圧造影剤使用→前後にてカテコラミン値に差なし
Ann Intern Med 2009; 150: 27-32
非イオン性造影剤→未治療の褐色細胞腫ないし傍神経節腫に副作用発現なし
AJR 2007; 188: 970-974
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